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「フリーランス」の響きはいいけれど……驚くべき“脱法契約”の実態働き方の「今」を知る(6/6 ページ)

「フリーランス」は、一見華やかな働き方に思える。しかし、その仕組みを悪用する企業が増加している。この記事では、悪意ある企業の手口を紹介し、フリーランスで働く人やこれからそうした働き方を検討する人がどのように身を守るべきかについて、ブラック企業を研究する新田龍氏が解説する。

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もし会社から「業務委託に切り替えないか?」と言われたら

 今正社員として勤務しているあなたが、仮に会社から「フリーランスになってウチの仕事を受けてくれないか」「業務委託契約に切り替えないか」などと言われたら、どう対処したらいいのだろう。留意点は2つある。

 1つ目は、業務委託契約への転換を強要するのは違法だということ。

 大前提として、業務委託契約を新たに結ぶ場合、働き手への保護・保障の度合いが大きく異なり、仕事の進め方などの面でも違いが存在するため、会社側はそれらについて細かく説明するとともに、働く側との合意が必要だ。

 しかし、会社側にあなたを使いつぶそうという悪意がある場合、説明を十分にしなかったり、「業務委託契約を結ばなかったらクビだ」などと強要してきたりする可能性がある。しかしそれは違法なので、あなたは「会社側からの業務委託契約の申出は断ることができる」と知っておいていただきたい。

 2つ目は、働く側に不利にならない条件を要求するということだ。

 業務委託のリスクも把握したうえでチャレンジする場合、リスクや不安点はできる限り全て払拭でき、不利益のない契約内容となるようじっくり話し合うことをお勧めする。具体的には「正社員勤務時代の収入を基に、保険料支出なども踏まえた手取り収入水準を維持できる報酬設定にする」とか、「委託契約期間を長期に設定し、その期間中は一定量の発注を継続することを条件とする」といった形で、双方にとってメリットのある形を考えていければよいだろう。

 発注側がフリーランスに依頼するメリットとして、「専門性の高いスキルを持った人物を、即戦力として活用できる」という点を挙げたが、それはあくまで「高い専門性に対して、相応の報酬で遇する」こととセットであることが大前提だ。責任だけを免れ、それに見合った報酬も支払わず、メリットだけをかすめ取るような脱法的な契約形態は、一刻も早く改められるべきである。

著者プロフィール・新田龍(にったりょう)

働き方改革総合研究所株式会社 代表取締役/ブラック企業アナリスト

早稲田大学卒業後、複数の上場企業で事業企画、営業管理職、コンサルタント、人事採用担当職などを歴任。2007年、働き方改革総合研究所株式会社設立。労働環境改善による企業価値向上のコンサルティングと、ブラック企業/ブラック社員にまつわるトラブル解決サポート、レピュテーション改善支援を手掛ける。またTV、新聞など各種メディアでもコメント。

著書に「ワタミの失敗〜『善意の会社』がブラック企業と呼ばれた構造」(KADOKAWA)、「問題社員の正しい辞めさせ方」(リチェンジ)他多数。最新刊「クラウゼヴィッツの『戦争論』に学ぶビジネスの戦略」(青春出版社)


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