楽天クレカ積立のポイント還元率変更に混乱? 代行手数料0.4%超でも1%対象外のなぜ
楽天証券が予定している、クレカ積立のポイント還元率変更が混乱。代行手数料が0.4%超なのに、ポイント還元率が1%ではなく0.2%も?
楽天証券が予定している、クレカ積立のポイント還元率変更が一部で混乱を呼んでいる。これまで楽天カードを使って投資信託を積み立てると、1%をポイント還元していた。しかし、8月12日以降設定する9月分の買付からは、投資対象の投信によって、ポイント還元率が変更になる。
発表当初、投信の信託報酬のうち販売会社が受け取る手数料(代行手数料)が年率0.4%以上の場合、1%還元を継続するとしていた。ところが6月3日公表のリストによると、一部投信については代行手数料についての表記が0.4%を超えていても、ポイント還元率が1%ではなく0.2%となっている。
具体的な例としては、「ニッセイ国内債券アルファ」などがそうだ。楽天証券の投信説明では代行手数料が0.451%となっているが、公開された0.2%対象投信のリストにも含まれている。この点を巡っては「債券だから1%から除外したのか?」など、SNSでは混乱する声も出ている。
手数料変動タイプの投信が原因
ではなぜこんなことが起きたのか。6月7日に更新された「楽天カードクレジット決済でのポイント還元率が0.2%となる対象ファンド一覧」には、「代行手数料の変動幅が年率0.4%をまたぐファンドについては、5月13日時点の代行手数料にてポイント還元率を判定している」と記載されている。
「当初と基準は変わっていないが、投信によっては信託報酬が流動的に変わるものがある」と楽天証券広報。その時々によって代行手数料が変わる投信の場合、判定基準日(今回の場合、5月13日)に0.4%を超えたかどうかで還元率が変化するということだ。
【訂正:初出で「過去の実績が0.4%を超えたか」で還元率が変化すると記載しましたが、正しくは「判定基準日に0.4%を超えたか」となります。お詫びし訂正いたします。】
一方で、今後代行手数料が0.4%を超えた場合は還元率も1%に上昇することになる。現在、楽天証券内の代行手数料の記載は上限率が記載されているため、一部の投信については分かりにくくなっている。「今後、投信スーパーサーチでもどの銘柄が0.2%還元なのか、1.0%還元なのかがわかるように掲載を行う予定」(同)
なお、代行手数料が変動する投信については、「楽天カードクレジット決済ポイント還元率指定ファンド一覧(2022年6月3日現在)」(PDF)というリストで公開しており、現時点の還元率も公表している。
楽天証券のクレカ積立還元率変更は、高還元に魅力を感じていたユーザーからは反発を招いたが、発表後も投信積立設定者は増加を続けている。現在のところは、大勢に影響は出ていない(記事参照)。一方で、還元率にはさまざまなルールがついて複雑になる。ユーザーに不安を与えないためにも、分かりやすい情報開示が求められるところだ。
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