トップ営業が必ず聞く「3つの質問」 6カ月間で成果ゼロの営業社員が真似した結果は?:ユーザベースの事例(2/4 ページ)
「売れる営業」とはどういう営業を指すのか? ユーザベースでマーケティングプラットフォーム「FORCAS」のセールスを統括する田口拓也氏は「6カ月間で成果ゼロ」の新人営業を育成する中で、トップ営業が商談で必ず聞く「3つの質問」に気付いた。
「そろそろ成果が出てほしいが、出ない」 なぜ?
採用した社員はSaaS営業の経験はないものの営業経験はあり、田口氏も期待していた。しかし、「そろそろ成果が出てほしい」という時期になっても全く実を結ばない状況が続き、結局入社から半年経ってもこれといった成果報告はなかった。
商談にはつながるものの、成約につながらないという状況。原因について田口氏はこのように振り返る。
「商談の進め方がブラックボックスだったのが大きな原因。もともといるメンバーは自分自身のやり方を確立して成果を上げていたので、社内に共有できる営業マニュアルなどがありませんでした。また、エンタープライズ向けの提案は会社ごとに進め方が大きく変わるため、個人のやり方に依存する傾向にありました」(田口氏)
エンタープライズ、つまり大手企業への導入には超えなくてはいけない壁が多く存在する。特定の部署にFORCASを導入するために、その部署と日ごろやり取りする別部署にも話を通す必要があったり、提案者と決算者が違ったりするパターンもある。
商談時に、誰に話を通すべきか、決算者にたどり着くためにどのようなコミュニケーションを取ればいいのかなどのノウハウが組織内で共有されておらず、新入社員がキャッチアップできずにいたのだ。
6カ月間、何も手を打たなかったのか?
「6カ月も成果が出なかったのに何も手を打たなかったのか?」と思う読者もいるかもしれない。コロナ禍でオンラインに移行し、商談数が増えたことが細かいフォローアップを難しくしたという。
「以前は商談に同席し、毎回フィードバックをするという体制を取っていました。コロナ禍で商談数が増え、私自身もプレイングマネジャーとして現場に出ていたので、動画を隅々まで見て丁寧にフィードバックする時間が取れませんでした。動画を見る時間すら十分に取れないこともありました」(田口氏)
結局、「商談、どうだった?」という主観ベースの報告に終始。営業メンバーも田口氏もバイアスがかかった状態でコミュニケーションを取ってしまっていた。
ハイパフォーマーに依存する営業組織の完成だ。「どうやって一次情報を効率的に取りに行くか」(田口氏)をずっと考えていたという。21年の年末にZoomの商談を録画し、自動で全文を書き起こすサービス「amptalk」を導入したことで風向きが変わる。売れる営業とそうでない営業の違いが明確に分かったのだ。
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