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リアルマネートレードを収益化? スクエニがブロックチェーンゲームの本命といわれるワケ:妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(4/9 ページ)
決算書といえば投資やビジネス視点で見るイメージがあると思いますが、より一次情報に近い経済ニュースでもあります。今回取り上げるのは、スクウェア・エニックス・ホールディングス(以下スクエニ)です。ご存じの通り、ドラゴンクエストやファイナルファンタジーで知られている企業です。
直近の業績
それでは、ここ数年の推移が分かったところで直近の22年3月期の通期の業績をみていきましょう。
- 売上高は9.8%増の3652.7億円
- 営業利益は25.5%増の592.6億円
- 経常利益は41.5%増の707億円
- 純利益は89.3%増の510.1億円
と巣ごもりで好調だった前期を、さらに上回る好業績となっています。そしてこの業績は売上高、利益ともに過去最高の通期業績だとしています。
経済活動自体は22年3月期の方が活発で、巣ごもりからの反動減も考えられましたが、22年3月期の方が好調だったんですね。
続いてもう少し詳しく業績を見ていきましょう。
スクエニは事業セグメントを(1)デジタルエンタテイメント事業(ゲーム事業)(2)アミューズメント事業(タイトーステーションなどのゲームセンター関連事業)(3)出版事業(4)ライツ・プロパティ事業(IP活用)と4つに分けて情報を開示しています。
それぞれの事業の業績の推移は
- デジタルエンタテイメント事業:売上高2796億円(5.9%増) 利益589億円(16.6%増)
- アミューズメント事業:売上高458億円(33.5%増) 利益15億円の赤字→20億円の黒字
- 出版事業:売上高290億円(8.2%増) 利益122億円(5.2%増)
- ライツ・プロパティ事業:売上高140億円(48.9%増) 利益39億円(77.3%増)
となっています。大きく業績が伸びた要因としては、主力のゲーム関連事業の成長もありますが、経済正常化に伴うアミューズメント事業の業績回復にも要因があったことが分かります。
ちなみに出版事業は売上規模は小さいながらも、営業利益率は42.1%と非常に高く、高収益事業となっています。
今回はゲームの話が中心という事で触れませんが、漫画アプリの運営を行っていたり、書籍も電子を中心の展開を進めていて、デジタルがメインとなる中で高収益となっています。
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