リアルマネートレードを収益化? スクエニがブロックチェーンゲームの本命といわれるワケ:妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(6/9 ページ)
決算書といえば投資やビジネス視点で見るイメージがあると思いますが、より一次情報に近い経済ニュースでもあります。今回取り上げるのは、スクウェア・エニックス・ホールディングス(以下スクエニ)です。ご存じの通り、ドラゴンクエストやファイナルファンタジーで知られている企業です。
サブスクリプション普及でゲーム業界の事業モデルに変化
従来は、ヒット作が出るかによって業績が大きく左右されるのがゲーム業界で、だからこそ不振に備えて大きな内部留保を確保しておく必要がありました。ですがサブスクリプションによってある程度収益の見通しがたつようになってきているというのは大きな変化で、開発投資という意味でも大きな投資がしやすくなっているでしょう。
そして、MMOはユーザーが増えるとゲーム自体も盛り上がり楽しくなりますし、友達もやっているからやるというような、ネットワーク効果が働きやすいジャンルです。そのため、人気の作品はユーザーが増えればさらに増えやすくなるという好循環が働きますから、スクエニでもMMOによる好調は続くと考えられます。
さらにデジタル化が進む中で、パッケージの在庫を持つ必要もないということもあり、売り上げ3652億円に対して、在庫の額は46.8億円と少額です。在庫リスクが少ないですから、その分コンテンツへの投資がしやすくなります。
サブスクリプションによる収益の安定、デジタル化による在庫リスクの低減ということもあってか、製作中のコンテンツへの投資を表すコンテンツ制作残高は増加していて967.6億円と多額になっています。
当たり前ですが、大型タイトルが出れば売り上げは増えやすいので、コンテンツ制作勘定と売り上げは一定の相関があるでしょう。今後は大型タイトルでの売上増加が考えられます。
コンテンツへの投資がしやすい環境が整っていますから、好調が期待できそうです。
関連記事
- 「歩いて稼げる」STEPN、崩壊論高まる 大物投資家のSNSが中国封鎖引き金か
現実世界で歩いた分だけお金が稼げる「STEPN」は、世界で200〜300万ユーザーを獲得した注目のブロックチェーンゲームだ。しかし5月末に中国ユーザーの規制が発表されると、ゲーム内のNFTやトークンの価値は数日で暴落。とはいえ中国当局に目をつけられないよう先手を打ち、うまく対処している。 - サイゼリヤがコロナ前をはるかに上回る利益水準になった理由
決算書で分かる日本経済の動向という事で、4回連続で飲食企業4社の決算を取り上げて、日本の飲食企業の現状を見ていきます。今回取り上げるのはサイゼリヤです。もちろんイタリアンのファミリーレストランであるサイゼリヤを運営している企業です。 - コメダ珈琲は、なぜコロナの悪影響をあまり受けなかったのか?
決算書で分かる日本経済の動向ということで、4回連続で飲食企業4社の決算を取り上げて、日本の飲食企業の現状を見ていきます。第3回目として取り上げるのはコメダホールディングスです。もちろんコメダコーヒーの運営をしている企業です。 - マクドナルドのテークアウト/デリバリー成功の要因はどこにあった? 絶好調で時短協力金も辞退
決算書で分かる日本経済の動向ということで、4回連続で飲食企業4社の決算を取り上げて、日本の飲食企業の現状を見ていきます。今回取り上げるのは日本マクドナルドホールディングス、ハンバーガーチェーンのマクドナルドの国内展開をしている企業です。 - 吉野家は、飽和する国内市場でなぜ郊外と女性に目をつけたのか?
今回取り上げるのは吉野家ホールディングスです。牛丼チェーンの吉野家を中心に展開していて、それ以外にも大きなチェーンでははなまるうどんもこの吉野家グループの企業です。最近は本業以外の部分でも話題になることが多い吉野家ですが、今回はそんな吉野家の現状と今後について考えていきましょう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.