「Internet Explorer」サポート終了も「IEモード」で“ゾンビ化” 本当の混乱は7年後?
米マイクロソフト(MS)がWebブラウザ「Internet Explorer」のサポートを終了した。MSはMicrosoft Edge非対応のページやサービスを利用できる互換機能「Internet Explorer モード」をEdgeで提供しており、終了したはずのIEが“ゾンビ”のように存続することになる。
米マイクロソフト(MS)は6月15日(現地時間)、1995年から提供するWebブラウザ「Internet Explorer」(インターネットエクスプローラー、IE)のサポートを終了した。同じく同社が提供する「Microsoft Edge」にWebブラウザの機能を集約するとともに、IEを起動しようとするとEdgeが起動。IE自体が完全に使用できなくなる。
一方で、MSはMicrosoft Edge非対応のページやサービスを利用できる互換機能「Internet Explorer モード」(IEモード)をEdgeで提供中。同社はIEモードのサポート期間について「少なくとも2029年まで」としており、今後7年間、終了したはずのIEが“ゾンビ”のように存続することになる。
根強いIEの法人利用
MSがこうした措置を講じる背景には、Edge非対応のページやサービスを利用するユーザーの存在がある。中でも、法人のIE利用は根強い。ソフトウェア関連サービスを手掛けるバルテス(大阪市)が21年9月に行った調査では、サポート終了に向けて「対応を完了した」と回答したのは全体の16%にとどまった。「現在対応中」(42%)と「まだ対応を始めていない」(15%)に、「わからない」(19%)を含めると全体の76%が対応を終えていないことになる。
IT製品情報サイト「キーマンズネット」が4月に発表した調査でも、「IEを利用している」と回答した企業は49.1%に上った。サポート終了後も「EdgeのIEモードを使う予定」(34.6%)、「EdgeのIEモードに切り替え済み」(20%)と、IEが日本国内の組織で根強く使われている様子がうかがえる。各社の報道やTwitterの反応を見ると、官公庁のIE利用も根強いとみられる。
7年間の猶予期間 IEモード使用組織は計画的な対応を
サポート終了でIE自体は起動不可になったものの、今回はIEモードという代替手段が存在した。IEモードのサポートが終了するであろう29年ごろに、ITに疎い企業や対策が遅れている官公庁を中心に今回以上の混乱が生じるかもしれない。組織規模が大きくなるほどサポート終了に伴う対応は簡単にはいかず、時間もかかる。ゾンビ化したIEを使用し続ける組織は、今後7年間の猶予期間を使い、計画的に対応を進める必要がある。
なおMSはIEモードの設定方法について、以下のように解説している。
- Microsoft Edgeのアドレスバーに「edge://settings/defaultbrowser」と入力し、「入力」をクリックする。
- Internet Explorerでの再読み込みをサイトに許可するをスライドして、「ON」に切り替える。
- Microsoft Edgeを再起動する。
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