【準備OK?】米マイクロソフトの「Internet Explorer」、6月16日起動不可に 必要な対策とシェア率は?:27年の歴史に幕(1/2 ページ)
米マイクロソフト(MS)が1995年から提供するWebブラウザ「Internet Explorer」(インターネットエクスプローラー、IE)が6月16日(現地時間6月15日)でサポートを終了する。対策などをまとめた。
米マイクロソフト(MS)が1995年から提供するWebブラウザ「Internet Explorer」(インターネットエクスプローラー、IE)が6月16日(現地時間6月15日)でサポートを終了する。同じく同社が提供する「Microsoft Edge」にWebブラウザの機能を集約し、IEを起動しようとするとEdgeが起動するようになる。日本マイクロソフトによると、サポート終了は「現地時間夕方」だといい、日本時間だと16日の午前中には起動不可になるとみられる。
「Windows 95」とともにデビューし、インターネットの黎明期から長くWebブラウザの“主役”だったものの、表示速度が遅い上、独自仕様で関連サービスの開発が難しく、セキュリティの脆弱性などからユーザーが減少。後発の米グーグルの「Chrome」(クローム)に主役の座を奪われた。一方で、日本国内の企業が社内システムでIEを使用しているケースが多く、対策が求められている。
「サポート終了」の解釈に注意 「Windows8.1」以外でIEは使用不可に
まず、IEのサポート終了で誤解してはならないのは、サポート終了後はIE自体が完全に使用できなくなるという点だ。同日以降、IEを起動すると、自動的にMicrosoft Edgeに切り替わる。
セキュリティソフトを手掛けるトレンドマイクロは自社の公式Webサイトで「Microsoftのサポート終了というと、よく思い浮かべるのはWindows 7のサポート終了などのような『セキュリティのアップデートなどが終了し、あとは自己責任での利用に限る』というパターン」と前置きした上で「今回のサポート終了は、他の事例のように単純にサポートがされなくなる(セキュリティ更新プログラムが停止する)というものではなく、そもそもIEが起動できなくなる」と解説している。
加えて、OS「Windows 8.1」のユーザーに限り、MSは6月17日以降もIEをサポート対象としている点も注意が必要だ。こちらは、OS本体と同じく23年1月10日にサポートを終了する。
IE終了後はMicrosoft Edgeの「IEモード」で 設定方法は?
IEのサポート終了の意味を確認した上で、どんな対策が具体的に求められるのだろうか。MSは公式ブログで、Microsoft Edgeへの移行を推奨している。ただ、法人の場合、Microsoft Edgeに非対応の社内システムを使用している可能性がある。このため、MSは折衷案として、Microsoft Edge非対応のページやサービスを利用できる互換機能「Internet Explorer モード」(IEモード)という機能を提供している。
MSは公式サイトでIEモードの設定方法について以下のように説明している。
- Microsoft Edgeのアドレスバーに「edge://settings/defaultbrowser」と入力し、「入力」をクリックする。
- Internet Explorerでの再読み込みをサイトに許可するをスライドして、「ON」に切り替える。
- Microsoft Edgeを再起動する。
これらの設定をすることでサポート終了後もIE専用に作られたWebサイトを利用できるようになるものの、MSはIEモードについて「少なくとも2029年までサポートする予定」としている。IEをベースにしたシステムそのものが使用不可になる日が、早ければ7年後に到来することになる。IEでしか動作しないような古いシステムを使用している企業・組織は、今後7年間で、他のブラウザでも利用できるようなシステムへの切り替えが必要だろう。
IPA「IEモード利用可能か確認を」
IEを使う組織に対し、IPA(情報処理推進機構)は「組織の情報システム担当部門などにIE モードを利用できるかどうか確認しておく必要がある」と呼び掛けている。
また、IEを使ったコンテンツ提供者には「サポート終了に向けてどのように対応するか検討が必要にななる」とした上で「サポート終了と同時にIEコンテンツの提供を終了するという選択肢もあるが、終了後も継続して提供する場合は、IEコンテンツをWeb標準仕様に準拠して改修し、IE以外の一般的なブラウザでも閲覧できるようにすることが求められる」としている。
サポート終了までに改修が間に合わない場合は「従業員や顧客に向けて、従来のIEコンテンツをIEモードで閲覧するよう周知する必要がある」ともしている。
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