2015年7月27日以前の記事
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楽天経済圏、第2章 ポイントに続く武器、楽天キャッシュとは一体何か?金融ディスラプション(3/4 ページ)

楽天の最大の強さは楽天経済圏だ。そしてその経済圏を支えるエンジンであり、潤滑油でもあるのが、年間5300億円も発行している楽天ポイントである。しかし、この度そこに新たな武器が加わる。オンライン電子マネーの「楽天キャッシュ」だ。

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楽天ポイントではダメで楽天キャッシュが重要な理由

 楽天キャッシュの狙いは分かった。では同じことを楽天ポイントではできないのか。そこには法的な理由があった。

 企業が発行するポイントを定義した法律はないが、電子マネーを規定した資金決済法によると、購入者が代金を払って買ったもので、有効期限が6カ月を超えているものは、電子マネー(法的には前払式支払手段)となってしまうのだ。


有効期限が6カ月を超えると購入したポイントは電子マネー扱いになってしまう(日本資金決済業協会Webより)

 これが楽天が以前販売していた「楽天ポイントギフトカード」の有効期限が6カ月である理由だ。この制約があるため、楽天ポイントは現金を支払ってチャージしてもらうバリューとしては、使い勝手が悪い。ここが、電子マネーである楽天キャッシュを楽天ポイントと併用する理由の1つだ。

Edyではダメで楽天キャッシュが必要な理由

 もう一つ、楽天には2009年に買収した楽天Edy(元ビットワレットが提供するEdy)という電子マネーもある。現在は20周年を迎え、自動販売機や地方スーパーなどで普及している。なぜEdyがありながら、新たに楽天キャッシュを推進するのか。

 楽天は明確には説明しないが、「楽天Edyはプラスチックカードを持っている」というのが理由の1つだ。EdyはSuicaなどにも使われているICチップ(FeliCa)と密接に連携しており、ICチップを搭載したプラスチックカードやおサイフケータイ、スマートフォンに残高が保管される。いわゆるICチップ型の電子マネーだ。

 一方で楽天キャッシュは、サーバ上で残高を管理する電子マネーであり、楽天会員に登録すれば自動的にウォレットが作成される。楽天IDにひも付く仕組みであり、物理的なICチップは必要としない。

 そのためEdyにチャージする際は、プラスチックカードを読み取り機にかざして現金を使うのが基本だった。12年にはサーバ上で残高を管理する「楽天Edyオンライン」の提供も始めたが、使い勝手の意味では、当初からサーバ型だった楽天キャッシュのほうが上だ。

 この夏には、楽天キャッシュと楽天Edyの残高を相互交換できる仕組みも用意する予定。実は、楽天キャッシュも楽天Edy社が発行しており、「(電子マネーを)1つにまとめるのではなく、ニーズに合わせて幅広く展開したい」(鍋山氏)という考えだ。

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