ステップワゴンが予告から半年も売らなかったワケ ホンダ、ロング・ティーザーの狙い: 鈴木ケンイチ「自動車市場を読み解く」(2/3 ページ)
5月27日に、ホンダのミニバンである「ステップワゴン(STEP WGN)」が発売となりました。しかし正直なところ、「やれやれ、ようやく発売になったのか」というのが筆者的な感想です。それは新型登場の予告が半年も前に行われていたからです。
SNS普及で情報を隠せない
すると、前提として社会の変化があると言います。まず、「SNSの普及などで、発表前の情報が隠せなくなっている」というのです。日本の自動車メーカーの場合、販売の現場となるディーラーは別会社であることがほとんどです。新型車発売のときは、正式な発表前にディーラーに価格などの情報を伝えます。そして、ディーラーでは、顧客が欲しいといえば、正式発表前であっても価格を伝えて商談を開始してしまうのです。そこで新型車の価格やデザインを知ったユーザーには、情報を隠す義務はありません。結果、SNSを通じて簡単に情報が漏洩してしまうのです。
また、「ステップワゴン」のユーザー特性も理由の1つだとか。どういうことかといえば、「ステップワゴン」のメイン・ユーザーとなる人たちが、“大のクルマ好き”ではないということ。そのため自動車専門メディアを熱心にチェックしていないというのです。その代わりに、ファッションやアウトドア、子育て情報を掲載するメディアを見ています。いわゆる一般誌メディアです。
そんな状況で新型車の情報は、どのように伝わるのでしょうか。まず新型車が登場すると、最初に自動車専門メディアが一気に情報を拡散します。その対応は早く、どんなに遅くても1カ月ほどで情報を掲載します。それに対して、一般誌メディアにとって新車情報の重要度は低く、どうしても記事として取り上げられるまでに、自動車専門メディアよりも時間がかかるというのです。
つまり、「ステップワゴン」の情報を一般誌メディア経由でアピールするには、自動車専門メディアよりも時間がかかると考えました。そこで、あえて早く、そして長いティーザー戦略を採用したというわけです。
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