【独自】くら寿司元店長が語る労働環境 「休みは取れず、上司は壁をたたきながら……」(1/7 ページ)
くら寿司にアルバイトとして入社し、その後社員として店長まで勤め上げた元社員にインタビューを実施した。当時の働き方を聞くと、違法性が疑われる労働環境が明らかになった。くら寿司で何が起きているのか?
大手回転すしチェーンのくら寿司では、これまでに内定辞退強要疑惑や、アルバイトスタッフによるSNSへの不適切投稿など、何度か労務トラブルが起きている。
そして先日、大きく話題になったのが4月に山梨県で発生した、くら寿司店長の焼身自殺事件だ。これは『週刊文春』によると、くら寿司店長が上司のスーパーバイザーから日常的にパワハラを受けていたことを苦にし、勤務していた店の駐車場で自動車ごと焼身自殺していたというものだ。
『週刊文春』は本件の第一報を出した後、6週連続で「上司から部下への暴言、罵声、物を投げつける、襟首をつかんで引きずるなどのパワハラが横行」「社会保険加入を希望するパート社員に『枠が一杯だから入れない』と拒否」「暴言に悩んで労基署に相談した社員を『要注意人物』として辞めさせるよう仕向ける」「『人件費を抑えろ』との会社圧力のため、繁忙期は店長が自腹でバイトを雇う『自爆雇用』が横行」「未成年者を22時以降まで深夜労働させる」などの違法性が疑われる不祥事を報道している。なお、文春の取材に対してくら寿司側はいずれも事実関係や自社の責任を否定している。
報道と会社側の見解が真っ向から食い違っているが、同社の内情とはいかなるものなのだろうか。筆者は、くら寿司にアルバイトとして入社し、その後社員として店長まで勤め上げた元社員に、同社の労働環境などについての実態をインタビューした。この元店長は2010年代半ばからアルバイトを開始し、約6年ほどくら寿司で勤務した。なお、元店長の発言は当時働いていた内容に基づくものである。
インタビュー内容を紹介したうえで、当該社員が指摘する同社の問題点と、これまでに報道があった同社内における不祥事や違法性が疑われる行為の数々をひもとき、法的に「何が違法で、何が問題なのか?」を解説していきたい。
もし読者諸氏が勤める組織において、本稿と同様の問題が発生している場合は、被害が拡大する前に対処することを強くおすすめする。
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