【独自】くら寿司元店長が語る労働環境 「休みは取れず、上司は壁をたたきながら……」(4/7 ページ)
くら寿司にアルバイトとして入社し、その後社員として店長まで勤め上げた元社員にインタビューを実施した。当時の働き方を聞くと、違法性が疑われる労働環境が明らかになった。くら寿司で何が起きているのか?
くら寿司の労働環境の違法性は?
インタビューをお読みいただき、「これくらいの労働環境ならウチも大して変わらないな」「ウチの方がもっとひどいぞ!」などと感じられた方がおられれば、その会社は要注意だ。
上記インタビュー内だけでも、違法と疑われる要素が複数存在しているからである。
(1)45時間の「みなし残業時間」を超えた場合の残業代の扱い
みなし残業時間を設定すること自体は合法で、何時間設定しても本来は自由である。しかし、労働基準法第32条において労働時間は「1日8時間・週40時間」と決められており、それ以上に残業させる場合は労使間で36協定を結ばなくてはならない。そこまでは読者諸氏もよくご存じであろう。
ただし、36協定を結んだとしても制限なく残業させられるわけではなく、原則として「月45時間・年間360時間」が上限とされている。時間外労働自体の制限が月45時間である以上、固定残業時間を45時間と設定しているということは、「違法な時間外労働が常態化しているのではないか?」と捉えられるリスクがある。
また、固定残業時間を超えた分は1分単位で残業代を清算しなければいけない。しかし、インタビューによると実態として45時間を超過した部分の残業記録をつけない「サービス残業(=不払い残業)」も横行しているようだ。もちろんこれは労働基準法違反となり得る。
(2)休み(法定休日、有給休暇)を取らせない
法定休日とは、労働基準法第35条で定められた必要最低限の休日のこと。企業は従業員に対し、定期的に法定休日を付与することが義務付けられている。
- 労働基準法第35条
使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない
法定休日を与えなかった場合は罰則対象となり、労働基準法第119条に基づき「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」を科される可能性がある。
業務上の必要性に応じて休日労働が発生する場合は、休日労働に対する割増賃金として35%の支払いが必要になる。割り増し分を支払わなかったり、代休や振替休日を与えず、結果的に「4週間を通じて4日以上」の休日を取らせなかったりした場合も違法だ。
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