【独自】くら寿司元店長が語る労働環境 「休みは取れず、上司は壁をたたきながら……」(5/7 ページ)
くら寿司にアルバイトとして入社し、その後社員として店長まで勤め上げた元社員にインタビューを実施した。当時の働き方を聞くと、違法性が疑われる労働環境が明らかになった。くら寿司で何が起きているのか?
(3)上司からの暴言などパワハラ行為
上司から業務上必要な範囲を超えて、人格否定にあたるような暴言を吐かれるのは、パワハラ類型の第2「精神的な攻撃」に該当するパワハラ行為である。とてもではないが、安心して職務遂行できる職場環境とはいえない(パワハラ類型については下図参照)。
また直接的な暴行でなくとも、物を投げつけたり、物をたたいて大きな音を出したりして相手を威嚇し、従わせようとすることは、パワハラ類型第1「身体的な攻撃」型のパワハラに該当する。
また、そのようなハラスメントが横行していることを知りながら、会社として改善に向けたアクションを起こしていないのであれば、会社は労働契約法で規定された、職場における「安全配慮義務」に違反していると考えられる。
- 労働契約法5条
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする
くら寿司の対応は
他にも、『週刊文春』で同社を扱った報道において出てきただけでも、「社会保険加入拒否」「自爆雇用」「未成年者の深夜労働」など数々の違法性が疑われる行為が証言されている。
一方、くら寿司側は「パワハラ行為があったとの事実は確認できていない」「係争中の事案のため回答は差し控える」「一方の当事者からの断片的な情報が、さも真実であるかのように報じられることは遺憾」「言動の一部分を意図的に切り出して歪曲されたものであり、事実ではない」「今後の取材には回答を差し控える」と一貫して事実関係を否定、もしくはコメントを拒否している。
報道では、自殺した店長の遺族宅を訪問したくら寿司社員が、遺族に対して「これ以上文春さんとかに喋るんやったら、あなた方のこと訴えますよ」と発言したとも伝えられている。
本当に記事内容が事実無根、誹謗中傷なのであったとしても、くら寿司側が『週刊文春』を訴えればよいことであり、わざわざ遺族宅に突撃し、悲しみが癒えていない遺族への直接の恫喝(どうかつ)などあってはならない。被害者や遺族に寄り添う姿勢が全く見えず、この種のトラブル対応としては最悪の類といえよう。
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