累計約15万台を販売! スマートロック「セサミ」シリーズが好調の理由:ひらけごま(3/5 ページ)
CANDY HOUSE JAPANが開発・販売するIoTスマートホームデバイス「セサミ」シリーズが好調だ。2017年の発売以降、累計で約15万台を販売。たびたび品切れになるそうだが、なぜ消費者の支持を集めているのだろうか。
2017年に日本進出、全売上の75%を日本が占める
キャンディハウスを創業した台湾出身のジャーミン氏は、現在34歳の若き起業家だ。米国のスタンフォード大学院で機械工学を学んだバックグラウンドがあり、大学院生時代に韓国人の同級生と共同起業して、初代セサミを開発。このとき、スマートロックの設計に関連した特許も取得している。
15年2月に米国のクラウドファンディング「キックスターター」で初代を発表したところ、約1億4000万円の資金が集まったというから驚きだ。
当時は、IoTスマートホームデバイスが非常に珍しく、画期的なアイデアだったことが成功の要因のようだ。その後、米国で一緒に暮らしていた日本人の妻と一緒に日本に移り住み、17年に国内での事業を開始した。
日本での事業拡大においては、「安く製品をつくれる国内工場がない」「エンジニアの数が少なく給料が高い」といった課題はありつつ、現在までのところ順風満帆のようだ。
「人脈がなく、日本語が流暢ではない状態で日本に移住しましたが、ここには外国人を受け入れてくれるやさしさがあり、比較的ビジネスはしやすいと思いました。妻の友人経由で採用ができたり、口コミでセサミシリーズのファンが広がったり、ビジネスを難しいと感じたことは多くありません」(ジャーミン氏)
セサミシリーズは、これまで広告は一切使わず、自社のSNSやユーザーの口コミ、メディア露出などによって、徐々に認知を広げているという。20年12月に、自社のYouTubeで新製品発表会をライブ放送した際は約1万人が同時視聴したそうだ。
「日本でのメインユーザーは20〜30代の男性で、いわゆるアーリーアダプターと呼ばれる層です。彼らを通してその家族にも利用者が広がり、セサミシリーズは累計約15万台を販売、アクティブユーザーは約39万人に拡大しています」(西依氏)
セサミシリーズは日本以外に米国での販売実績があり、世界規模だと累計約20万台を売り上げている。そのうちの75%が日本での売り上げというわけだ。
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