連載
パナソニック、「15兆円」のスポーツ市場で目指すビジネスモデル:知らないと損?業界最前線(2/5 ページ)
パナソニックが、現在注力する面白い取り組みの1つがスポーツ関連事業だ。スポーツ庁は、2025年に国内スポーツ市場が15.2兆円に達すると試算。同社はメーカーとして製品を売るだけでなく、継続的に価値を生み出し、長期的に利益を創出できる仕組みを作り出そうとしている。
スポーツ×街で目指す、リカーリングビジネス
パナソニックがスポーツ市場で展開しようとしている取り組みの1つが、リカーリングビジネスだ。リカーリングとは、「循環する」という意味の英語。メーカーとして照明器具や、スタジアム設備などの商品を売るだけでなく、継続的に価値を生み出し、長期的に利益を創出できる仕組みを作り出そうとしているのだ。
このリカーリングビジネスのモデルとなるのが、パナソニック エレクトリックワークス社(以下、EW社)が取り組む、埼玉県熊谷市の熊谷スポーツ文化公園内にある多目的スポーツ施設「さくらオーバルフォート」である。
「さくらオーバルフォート」は熊谷ラグビー場に併設するグラウンドと管理棟、クラブハウス、ホテル総合施設などで構成されたスポーツ空間。施設は埼玉県ラグビーフットボール協会が建設・所有し、管理棟などはパナソニック・スポーツ事業センターに35年間定期賃貸契約で貸し出される仕組みとなっている。つまりパナソニックは、スポーツを通して35年間、継続的にビジネスを行う予定ということだ。
関連記事
- もはや1兆円規模のサブスク市場、パナ参入で家電も本格化
コロナ禍の巣ごもり需要でさまざまな家電が注目を集めたが、アフターコロナ、ウィズコロナの気運が高まる中、家電市場に訪れている大きな変化の1つがサブスクの広がりだ。22年度以降の市場規模は1兆円を超えるとされ、いろいろな家電製品がサブスクで利用できるようになっている。 - パナソニック“次の100年”のキーパーソン、Shiftall 岩佐CEOに聞く(前編)
パナソニックを2008年に退社して、Cerevoを起業した岩佐琢磨氏。しかし18年設立の子会社Shiftallは、全株式をパナソニックへ売却し100%子会社となった。パナソニック内部へ戻った目的、現在の役割に加え、家電メーカーが生き残っていくために必要な取り組みなどについて、前後編にてお届けする。 - “パナの特許”と“世界ブランド”でイノベーション 2万円トースター誕生の裏側
千石の手掛ける「アラジン」のオーブントースターは、特許技術の高性能ヒーターとレトロなデザインを組み合わせて大ヒット。旧三洋電機の下請け工場として創業したが、今や家電製品の企画、開発、製造、販売まで一貫して行うメーカーだ。家電メーカーになるまでの経緯、今後についてを専務取締役の千石滋之氏に聞いた。 - パナ、ダイキン2強体制に異変? 2022年最新エアコントレンド
シーズン本番前に、エアコンの最新事情と昨今のエアコンを取り巻く状況などを解説する。また家庭用エアコンは、長くパナソニック、ダイキンを2強として、三菱電機や日立、富士通ゼネラルがそれに続いていた。しかし、近年注目を集めているのは新しいメーカーだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.