「ない」ことがたくさんある結婚式場が、なぜクチコミサイトで「1位」なのか:水曜日に「へえ」な話(4/5 ページ)
「IWAI OMOTESANDO」という結婚式場をご存じだろうか。2019年にオープンしたところ、利用者からの評判がよく、クチコミサイトで1位に。歴史もなく、知名度も低く、利用者も少ない式場なのに、なぜ人気を集めているのだろうか。
不満を解消して、新しい形に
結果、どういった声が多かったのだろうか。「お偉いさんのスピーチが長い」「友だちをどこまで呼べばいいのか」「料理はなぜフレンチなのか」など。不満を分類すると、「不自由」(38.2%)と答えた人が最も多く、次いで「しきたり」(16.3%)、「ご祝儀」(9.4%)、「ドレス」(9.3%)と続いた。
また、ゲストからは次のような声が聞かれた。「待ち時間が長い」「新郎新婦と話をしたいけれど、ほとんど話せない」「お酒が飲めない人は、ずっとウーロン茶」など。
ここまで読んで、カンのスルドイ人はお分かりだろう。結婚式を開いた新郎新婦だけでなく、披露宴に参加したゲストの不満を解消するために、新しい形を進めていったのだ。例えば、新郎新婦と話ができないという声に対しては、2人がゲストを迎えて、同じテーブルに着席する。歓談の時間をなるべく長くして、できるだけ会話がはずむような演出をしたのだ。
従来の結婚式だけでなく、自分たちがやってきたことも、ある意味“否定”する形で結婚式場を運営したところ、それがウケたようである。結果、クチコミサイトでの1位である。
このように紹介すると「順風満帆だよなあ」と思われるかもしれないが、そうでもない。新型コロナの感染拡大によって、大きなダメージを受けた。「開業1年目から黒字を確保することができました。翌年、『さらに成長するぞー』と意気込んでいたところ、感染が広がりまして。4月、5月、6月の3カ月間、結婚式はゼロでした。ゼロが3つ続いたこともあって、社内で徹底的に議論しました」(吉田さん)という。
オーダーメイドウェディングの場合、式場を所有していないので、そのぶん固定費の負担が軽くなる。一方、イワイの場合、箱を持っているので、結婚式が実施されなければ固定費の負担がのしかかってくる。コロナの夜明けが見えない状況が続いたので、社内からは「イワイを手放して、オーダーメイドウェディングに集中すべき」といった声もあったそうだが、クレイジーが選択したのは箱である。
イワイの運営を始めたころは、オーダーメイドウェディングとイワイの両輪を回す作戦に打ってでていた。1年目はそれがうまく回っていたが、コロナによって状況は一変。さすがに二兎を追うことは難しくなったので、一兎のみ追いかけることにしたのだ。それがイワイである。
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