スワロフスキーは客単価5倍に! 「ライブコマース」導入で売り上げがアップした理由:離脱を防ぐ(2/5 ページ)
ECサイトとライブ配信を組み合わせ、配信者と視聴者がコミュニケーションを取れる販売手法「ライブコマース」。近年じわじわと成功事例が増えつつあるようだ。結果を出している2社を取材したところ……。
途中離脱を防ぐ導線でCVRが7.8%向上
不特定多数の視聴者に向けたライブ配信ツール、ライコマはコロナ禍の20年8月に誕生した新サービスだ。事業の一つとしてデジタルソリューションを展開するユニット社では、大手百貨店から「顧客とコミュニケーションを取りながら販売できるオンラインツールがほしい」といった要望があり、自社でツールの提供を開始した。
ライコマには、ライブ配信を見ながら同じページ内で商品をカートに追加できる「カート連携機能」があり、CVRの向上に貢献しているという。
「例えば、インスタライブを視聴中に商品ページを見ようとすると、プロフィール画面から商品リンクに飛ぶ、あるいはコメント欄から商品リンクに飛ぶことになります。いずれもライブ配信から離脱してしまい、購入までの導線もスムーズではありません」(鎌田氏)
これらの改善によって顕著にCVRが向上したのが、リネン服/寝具のブランド、ワフだ。3317人(22年6月下旬現在)のインスタグラムフォロワーを持つ同社では、ライコマ導入以前はインスタライブを利用したライブコマースを実施していた。しかし、売れる回でもCVRが10%前後と購入にいたりづらい課題があった。
そこで、インスタライブと比較して購入導線がスムーズなライコマに切り替えたところ、初回配信で予定終了時間の15分前に商品が完売、CVRは17.8%に向上、200万円の売り上げを達成したという。
「この事例では、インフルエンサーなどのキャスティングは行っておらず、ライブ配信の内容や扱う商品はインスタライブと大きく変わりません。そのため、購入までの導線をスムーズにしたことが成功要因だったと分析しています。たとえ、顧客がECサイトに飛んだとしても、途中でライブ配信を離脱してしまうと、“最後のひと押し”を見てもらえない。ライブ配信を見終えた後にカートに入れた商品の精算をする体験設計が、CVR向上に貢献したのではと思います」(鎌田氏)
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