「ビッグカツ」や「岩下の新生姜」をギターの音で表現したら大当たり どんな音?:100台売れれば大ヒット(3/4 ページ)
LEP INTERNATIONAL(岩手県花巻市)が発売する「スグル食品のビッグカツディストーション」が、ギタリストを中心に注目を集めている。スグル食品(広島県呉市)とコラボし、駄菓子の「ビッグカツ」を音で表現した商品という。なぜコラボした?
「コッペパン」や「岩下の新生姜」ともコラボ
ビックカツディストーションの前にも同社はコラボ商品を2作出している。盛岡市のソウルフード・福田パンとコラボして20年9月に発売した「あんバターコッペドライブ(福田パン謹製)」はこれまでに約3000台、岩下の新生姜とコラボして21年9月に発売した「NEW GINGER FUZZ」は約1500台を売り上げている。
これらのコラボについて川村社長は「まず大前提として、お客さまにコラボ製品を楽しんでもらえたらという思いがあります。実際に商品を世に出すことができて、なおかつ売れ行きも好調なこの状況は、ものすごく幸せだと思います」とユーザーとコラボ先企業に感謝する。
すでに発売していたこの2作への評価から「コラボ製品が喜んでもらえることが分かった」と受け止めていた。次なるコラボ企業を模索した時に「誰でも知っていて食べたことのあるような駄菓子がいいのでは」と真っ先に思いついたのがビッグカツだった。多くの人に味の共通認識があり、音にした時にも想像してもらいやすいのではないかという点も、協業への気持ちを湧きたてた。川村社長から、スグル食品に連絡を入れた。21年10月のことだった。
スグル食品「どういう形になるか想像できなかった」
花巻市から直線距離で950キロ。広島県呉市にあるスグル食品でビックカツディストーション開発に携わった広報担当の大塩和孝さんは、話を受けた時のことを「エフェクターがどういう物なのかが全く分からなくて、どういう形になるのかも想像できなかった」と振り返って笑う。
約半年の開発期間では、LEP INTERNATIONALから音源サンプルを受け取って耳を澄ますことで「『そうか、これがザクザク感なのか。こういう感じなのか』とだんだん分かってきました」と、ビックカツが音になる過程を確認していった。
もともと、スグル食品も異業種とのコラボに積極的な企業だった。同社のWebサイトでも、自社の強みの一つとして「ルール・慣習にとらわれない、他社とのコラボ商品や新商品開発」を掲げている。これまでにも広島東洋カープとコラボした「カープかつ」の他、クレーンゲームの景品としての枕や巾着、ビッグカツのアレンジレシピ本など、さまざまな企業と一緒になって新しいものを生み出してきた。
エフェクターメーカーという、とりわけ珍しい組み合わせにも「全く知らない分野からの気付きが得られるのではないか」という期待感すら抱いていた。今回のビックカツディストーションのヒットに、大塩さんは「大成功で、多くの人に喜んで頂けて良かったです。エフェクターとしての商品力があってこそなんだろうなという部分を実感しています」と謝意を述べる。
今後も「ビックカツなど当社商品は、それ自体が買い物の目的というよりは、他の何かを買うついでに手に取ってもらえる商品なので、これからもみなさんの生活の中にふと入り込んでいけるような仕掛けをどんどんしていきたいと思います」(大塩さん)と、他分野での展開にも意欲を見せている。
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