投信積立、楽天キャッシュなら0.5%還元が継続可能な、そのカラクリ:金融ディスラプション(2/6 ページ)
楽天証券が新たに開始する楽天キャッシュ決済による積立は、なぜ0.5%を還元できるのか。将来はこちらも採算が合わなくなったという理由で、還元率が減る可能性があるのだろうか。クレカ積立の事業モデルをもとに、ここについて考えてみよう。
例えば、楽天証券主催のユーザー投票で先進国株式部門でアクティブファンドトップとなった「キャピタル世界株式ファンド」はどうだろうか。こちらの信託報酬は合計で年率1.694%。うち運用を行う運用会社の取り分が「委託会社分」と呼ばれる0.825%で、販売を行う証券会社の取り分が「代行手数料」と呼ばれる0.825%だ。そして、証券を管理する信託銀行の取り分が「受託会社分」と呼ばれ0.044%となっている。
なるほど、このファンドを買い付けてもらえれば、残高の中から毎年、0.825%が証券会社に入ることになる。これであれば、買い付け時に1%のポイントを還元しても、2年も保有してもらえれば利益が生まれる。
これがクレカ積立をスタートした当初の目論見だったわけだ。
ところが、この数年で人気が爆発したのは、腕利きのファンドマネージャーが投資先を厳しく選別するアクティブファンドではなく、市場平均にそのまま投資するインデックスファンドだ。インデックスファンドの特徴は、信託報酬が低いこと。同投票で先進国株式部門インデックスファンドトップとなった「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」の信託報酬はどうだろうか。
こちらの信託報酬は0.1023%。この時点で先のアクティブファンドの10分の1以下だ。そして、委託会社分が0.04015%、代行手数料も0.04015%。受託会社分も0.022%となっている。証券会社の取り分も、20分の1以下になっていることが分かる。
このファンドの買い付け時に1%のポイント還元を行うと、代行手数料で還元分を回収するのに25年もかかる。これではいくらなんでもビジネスとして成り立たない。
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