異例の350万本突破 リップモンスターが口紅市場で“モンスター級”になれた理由:KATE25周年(3/4 ページ)
コロナ禍により、化粧品市場は大きな打撃を受けた。2020年は6670億円(前年比88%)と大きく落ち込み、21年もほぼ同水準となった。最大の要因はメークアップ化粧品で、特にファンデーションや口紅など、マスクを着用すると崩れたり隠れたりしてしまうカテゴリーの落ち込みが大きくなっている。こうした状況にあって、累計販売本数が350万本突破するほどの人気商品となっているのが、KATEの落ちにくい口紅「リップモンスター」だ。
コロナ禍を逆手に取ったSNS戦略
販売に際し、社内からは「この時期に、しかも需要が減っている口紅を発売する意味があるのか」「市場に出しても売れると思えない」といった反対意見が相次いだという。「反対はもっともだと思いましたが、こういった危機こそ機会ととらえ挑戦するのがKATEというブランドです」と若井さんは振り返る。
21年4月20日からは、販売開始に先立ち、店頭配荷(実際に店頭に並べること)とYouTubeでの情報を先出しし、評判づくりを行った。「コロナ禍でタッチアップといった実際に手に取って試す、という販促ができませんでした。そのためSNS上での体験の場を作る必要がありました」(若井さん)
4月24〜27日には、美容系のインフルエンサーやメディアによる情報露出を実施。この時点でリップモンスターに関するツイートに対して、8093リツイート、6.6万いいねを獲得。SNS上での認知度向上と体験を拡大していった。
発売日の5月1日からはTikTok施策を実施した。インフルエンサーがマスクを外すと音楽に合わせてリップの色が変化し、画面上にはブランドと商品のロゴ、使用したリップの色名と色番を表示する。この約15秒の動画広告は、リップモンスターがターゲットとしていた若年層を中心に人気を博し、ブランドの知名度向上に貢献した。
「このTikTok施策でポイントとなったのが、色名です。定番14色の商品名は、使った時の気持ちや体験に着目し名付けたのですが、『ラスボス』や『2:00AM』など、#をつけてつぶやきたくなるような言葉を選びました」(若井さん)
リップモンスターの人気は、若年層からその親世代までに広がり、幅広い顧客を獲得。21年のベストコスメ賞を46部門で受賞した他、口紅で初のシェアナンバー1を獲得し、全メーク市場でナンバー1ブランドとなった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「セカンド冷凍庫」が一躍人気になっている“なるほど”な理由 シャープに聞いた
「セカンド冷凍庫」が注目を集めている。家にもう1台冷凍庫を置くというと、部屋が手狭になるなどマイナスな印象を受けるかもしれないが、直近2年間で国内出荷台数は2倍近くに急増。人気の背景には、食品買いだめやコストコなど大容量商品の人気上昇のほかにも、追い風があるようだ。詳しい理由をシャープに聞いた。
もはやオシャレ家電? 人気の「セカンド冷凍庫」しのぎ削るメーカー、焦点は2つ
食品買いだめやコストコなど大容量商品の一般化、ふるさと納税の返礼品などを追い風に、人気上昇中の「セカンド冷凍庫」。各社の人気セカンド冷凍庫を分析すると、ある特徴が見えてくる。キーワードは、「スリム」と「大容量」だ。
関西版「住みここちランキング2022」 3位「箕面市」、2位「奈良県王寺町」、1位は?
大東建託は、「住みここちランキング2022<関西版>」の結果を発表した。住みここち(自治体)ランキング1位は「大阪市天王寺区」、2位は「奈良県北葛城郡王寺町」、3位は「大阪府箕面市」だった。
日本長者番付2022 孫正義氏は3位転落 お金持ち1位は?
フォーブスジャパンは6月1日、「日本長者番付2022」を発表した。その結果、ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正氏が、3兆500億円で保有資産額トップだった。柳井氏がトップになるのは2020年以来2年ぶり。衣料品大手ユニクロの国内・中国市場における売り上げの低迷が、親会社であるファーストリテイリングの株価に影響した。
夏の電気代対策 3位「扇風機の併用」、2位「エアコン稼働数を減らす」、1位は?
積水ハウスは、「住まいにおける夏の快適性に関する調査」を実施した。夏のおうち時間で気になることやネックになることを尋ねたところ、1位は「電気代」(64.0%)となった。以下、「運動不足」(37.8%)、「室内温度調整」(23.2%)と続く。

