後払い商品を現金化する“ほぼヤミ金”、狙われる18歳新成人 キャッシュレス決済の行方は?:小売・流通アナリストの視点(4/5 ページ)
経済産業省によると、日本のキャッシュレス比率は3割超。コード決済などが普及したが、浸透率は先進国の中で最低レベルだ。日本のキャッシュレス決済はどうなっていくのか?
税務面では、不正行為の抑止力に
政府としても、前述の資料には載っていない、重要な目的をもってキャッシュレス化の推進をしている。それはマイナンバーをIDとして資金決済のデジタルデータを構築することで、所得捕捉、税務調査の効率化を進めることである。
資金決済をデータで把握できるようになれば、収入支出を容易に捕捉でき、また事後検証もできることが公知されれば、不正行為への抑止力ともなるだろう。
というと、徴税強化だと反発する向きも多いだろうが、そこに関して大半の庶民にとっては大した痛みとはなるまい。この国で85%を占める給与所得者にとっては、収入支出は既にほぼガラス張りとされており、税務当局にとっての大した関心の対象ではないからだ。当局が補足強化を目指すのは、法令順守の徹底と脱法行為の防止であり、庶民を捕捉したとして取れるものがないのだから、恐れる必要もないということだ。
現時点ではまだまだ、遅れているわが国のキャッシュレス化ではあるが、DXを前提としたビジネスで海外勢と対等に戦っていくためには、資金決済を中心としたビッグデータインフラを整えない訳にはいかない。官民一体となってデジタル化が推進され、近い将来にはデジタルインフラは当たり前の環境になっていることだろう。
BNPLの利便性と危険性
こうしたキャッシュレス化推進の流れの中で、キャッシュレス化を後押しするサービスとして注目されている中に、BNPL(Buy Now Pay Later)といわれる後払い決済の仕組みがある。
これはクレジットカードを使わないで、少額短期間(翌月払いなど)の無利息後払いが可能になるというサービスで、米国ではクレジットカードを持てない若年層を中心に普及し、Z世代の4割超がこのサービスを利用しているという。ECを中心に、導入した店では売り上げが大幅に伸びるという実績が示されているため、後払いの利息に相当する手数料は小売店側が負担する仕組みにもかかわらず、加盟店は急速に増加した。このサービスが日本でも広がりつつある。
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