週3日や時短勤務に「後ろめたさ」を感じる理由 柔軟な働き方を実現するヒントとは?:ワークスタイル4.0へ(2/4 ページ)
働き方のニーズが多様化し、週3日勤務や時短勤務などのワークスタイルが生まれている。にもかかわらず、柔軟な働き方に「後ろめたさ」を抱いてしまうのはなぜなのか。
正社員は働き手にとっても会社にとっても、選択する際に相応の覚悟が求められる雇用形態です。一方、非正規社員も、勤務地や職務などは限定したいものの、長期安定的に働きたいと考える人にとっては選択しづらいといった課題があります。正社員と非正規社員のいずれにも、帯に短し襷(たすき)に長しという側面がある中、双方のメリットを合わせた働き方へのニーズは多いものの、選択肢は極めて少ないのが実情です。
そのように働き方のニーズが変化する一方で、シニアや主婦層、外国人、障害者、性的マイノリティなど個々の背景に配慮するダイバーシティ&インクルージョンを求める機運も高まってきています。正社員と呼ばれる雇用形態でオールマイティな要望に応えられるように働くというシステムと、働き手のニーズとの間のズレは日に日に大きくなってきています。
個別の働き方施策が生んだ思いがけない弊害
これら一連の動きに対し、対策は個別に取られています。例えば、正社員と非正規社員双方のメリットを合わせた働き方として、地域限定正社員や職務限定正社員などの導入が検討されてきました。これらはジョブ型ブームと名を変えて、現在でも少しずつ導入が進んでいます。
また他にも、シニア層については高年齢者雇用安定法を改正したり、外国人については新たに特定技能という在留資格を設けたり、障害者雇用促進法や性的マイノリティを含む職場環境整備の啓発、労働基準法改正による長時間労働是正や有給休暇取得の促進、女性活躍推進法の制定、介護休業の取得や男性を含めた育休取得促進など、働き方の多様性にまつわる取り組みは個別に同時並行で進んでいます。
それらは、間違いなく必要な取り組みであり、これまでスポットライトが当たることが少なかった個々の事情への配慮が広がること自体は素晴らしいことです。しかしながら、個別に施策を進めていることが別の壁を生み出してしまっている懸念があります。例えば、60歳以上のシニア層だから週3日だけ勤務するのは仕方ない、とか育児するのだから長期間休業するのは仕方ないなど、それぞれの施策が設定した“仕方ない理由”に当てはまる特別な事情とみなされるという壁です。
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