アウディが仕掛けるEVとSDGs戦略 次世代パワートレインはEVで確定:BEVで勝負(6/6 ページ)
アウディは2026年以降に全世界で発表するモデルは全て電気自動車で、33年を最終期限として内燃エンジンの生産は段階的に廃止する。岡山県真庭市で実施したツアーの様子と共にEVとSDGs戦略をひもとく。
EVでも個性があるアウディの走り
もしBEVがICEと同じ感覚で運転でき、充電もストレスなくできるのであれば、あとは商品ラインアップと車自体の商品力の勝負になる。アウディは、日本では20年に同社初の電気自動車「Audi e-tron Sportback」を発売し、その後、SUV版も投入した。
21年には4ドアクーペの「Audi e-tron GT」を上陸させ、22年には「Audi Q4 e-tron」の販売が予定されている。SportbackやGTの価格は1000万円超えの一方、Audi Q4 e-tronはコンパクトSUVで、価格も599万円からと求めやすくしている。
今回のツアーでは、SUV型の「Audi e-tron Sportback」と「Audi e-tron GT」を試乗した。電気自動車らしく、アクセルを踏めばその分だけリニアが加速していく力強さがある。EVの走りには個性がないといわれがちだが、それぞれの車両に異なった味付けをしており、走る楽しみも想像以上に味わえる車に仕上がっていた。
日本人とドイツ人のハーフであるシェーパース氏の語り口はソフトだが、強いリーダーシップを感じさせる。日本人は手ごろな価格であれば、ミーハー気質を出して新しいものを手に入れたがる。ただ、大きな買い物となると石橋をたたいて渡る性格だ。
現時点で日本人がBEVに慎重になる理由の一つには、SDGsが重要だと頭で分かってはいても、今はBEVがICEよりも不便だと感じている点がある。シェーパース氏は日本と欧州の人々の両方の性格を理解しているだけに、今後は日本人がBEVに感じている不安を取りのぞけるかに、手腕が求められるだろう。
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