2015年7月27日以前の記事
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「無限列車は鬼滅だけど、霧幻鉄道は不滅です」 映画監督と主演に聞く(後編)杉山淳一の「週刊鉄道経済」(6/7 ページ)

福島県の会津若松駅と新潟県の小出駅を結ぶJR東日本の只見線を、奥会津の風景とともに年間約300日、30年間以上も撮影し続けたのが星賢孝氏だ。氏の主演する映画『霧幻鉄道 只見線を300日撮る男』の全国展開が始まる。映画の魅力と只見線のこれからを、星氏、監督の安孫子亘氏に聞いた(後編)。

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これからの只見線の話をしよう

――映画をきっかけに、現地を訪れたいという方々も増えそうです。奥会津の人々、行政、星さんは、その中でどういう役割を担っていますか。

星: これがゴールじゃなくてスタートだから、海外や国内から観光客にいっぱい来てもらって地域の活性化に寄与していきたい。行政はみんなバラバラで、金山町、三島町、柳津町がそれぞれ自分のところだけ来てください、というのではダメだから、福島県か別の機関を発足させて、そこが主導で広域的に連携を深めなきゃいけない。

 それも行政だけではダメ。今のところ、残念ながらわれわれと一緒にやっていないから。行政というのは金と組織があってもアイデアと実行力がない。われわれは今までずっとやってきてるんだから。海外にも知ってる人はいっぱいいるし、つながってる。われわれと一緒にやることで初めて、海外と連携も組めると思うんだよね。

――只見線が復活することで、明治から令和にかけての鉄橋の技術が全部そろうっていう話もどなたかおっしゃっていて、それは面白いなと思いました。鉄橋博物館ですね。鉄橋が失われたことは残念でしたけど、令和の鉄橋がかかるのも、ちょっとワクワクします。

星: 土木遺産にしてもらってたし、これからは景観整備を含めて、日本遺産も申請したいなと思っています。

――景観といえば、霧幻峡の美しい霧は時期ですか、時間帯ですか。

星: 季節と時間帯です。7月、8月あたりになると7割は出ます。川の水温が低く、気温が高いときですね。水と空気の温度差が必要なんです。尾瀬から冷たい水が流れてきてダムでストップする。冷たい水が流れていかないから、昼は水は冷たいまま暑くなる。そして湿度。空気が乾燥してると霧にならないですから。それと川幅が広いこと。基本的には面積が広い部分に出ます。


霧幻峡(『霧幻鉄道 只見線を300日撮る男』より)

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