「中小企業淘汰論」はなぜ“炎上”しにくくなったのか 日本に残された時間:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
「中小企業は減らしたほうがいいよ」――。こうした「中小企業淘汰論」を掲げても、ネット上で炎上しにくくなっている。数年前であれば、すぐに燃えていたのに、なぜ話題になりにくくなったのか。背景にあるのは……。
7月15日、中小企業経営者の皆さんが、怒りで気を失ってしまうような「暴言」が報じられた。
経済同友会の櫻田謙悟代表幹事(SOMPOホールディングス グループCEO)が「日本の平均賃金の低さを解消するためには、中小企業の数を減らす必要がある」(日テレNEWS 7月15日)という主旨のことを述べた、と日本テレビが報じたのだ。正確な発言は以下だ。
「とにかく(企業の)数が多すぎる、小さすぎる、生産性というか利益率が低すぎるっていうのがはっきりしているわけで。ここから目をそらしたまま『賃金を上げればなんとかなる』ということには、たぶんならないし上げられないと思います」(同上)
「“最低賃金を上げなさいもっと出せ”と言ったら“無理ですつぶれます”となるんですが、店を閉める(廃業する)ことについての税制のメリットを与えるとか」(同上)
「最低賃金を上げたら潰れます、潰れたら日本は終わりですよ」というロジックは、日本商工会議所をはじめとした中小企業経営団体の「錦の御旗」と言っていい。それを、SOMPOホールディングスという大企業の経営者がイジったうえ、「廃業のススメ」までしているのだから、「中小企業は国の宝」と考えるような人たちからすればケンカを売られたようなものだ。
ネットやSNSでは、「減らすのは中小企業じゃなくて貴様ら大企業だ!」「中小企業が減ったら失業者があふれかえって日本はめちゃくちゃだ」「素晴らしい技術やノウハウを持つ中小企業を潰すのは、長い目で見て日本のマイナスだ」という怒りのコメントが多く寄せられ、中には「この櫻田という人物は、日本を弱体化させるために米国政府に使われているエージェントだ」なんて「ゴルゴ13」も真っ青の国際陰謀論まで飛び出す始末だ。
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