コラム
米国フィンテック市場、成長する新興企業VS. メガバンク:勝者はどっちだ(2/5 ページ)
米国の「個人間送金市場」が盛り上がっている。成長を続ける新興企業と既存銀行による激しい覇権争いが繰り広げられているのだ。さて、現時点の“勝者”は……。
Venmoの特徴
Venmoは電話番号とデビットカード番号の登録だけですぐに使えるモバイルファーストのサービスです。送金手数料が無料ということもあり、急速に個人間送金の市場を席捲(せっけん)していきました。個人間送金ではお金の支払者と受取者が同じツールを使うことが重要であるため、ネットワーク効果が発生します。Venmoの利用者数が増加すればするほど、消費者はますますVenmoを使うようになっていきました。
Venmoが登場する以前は、小切手やオンラインバンキングを通じて、銀行が個人間送金を独占していました。Venmoの急成長に対して、米国の主要銀行はどのように対抗したのでしょうか?
それは、銀行界の持つ既存アセットを最大限に生かしたジョイントベンチャーでした。もともと米国にはJPモルガンチェース、バンクオブアメリカなど主要7行が共同出資したEarly Warning Services, LLC(アーリー・ウォーニング・サービス)というジョイントベンチャーがありました。
この会社は加盟銀行向けにセキュリティ関連のプロダクトを提供していたのですが、11年からはClearXchange(クリアエクスチェンジ)という送金サービスを提供しています。このClearXchangeをベースとして、17年に誕生した個人間送金サービスが「Zelle(ゼル)」です。
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