コラム
米国フィンテック市場、成長する新興企業VS. メガバンク:勝者はどっちだ(3/5 ページ)
米国の「個人間送金市場」が盛り上がっている。成長を続ける新興企業と既存銀行による激しい覇権争いが繰り広げられているのだ。さて、現時点の“勝者”は……。
Zelleの戦略
17年にZelleがサービス開始した時点で、Venmoはユーザー数5000万人ほどを抱えるトップサービスでした。そんな強敵に勝つためのZelleの戦略をシンプルに整理すると、以下のような特徴があります。
(1)先行するVenmoが強い要素は完全ミートする
・ユーザー数
個人間送金サービスは送金人と受取人が同じツールを使うことが前提であるため、ユーザー数の大きさがそのままサービスの強さとなります。
Zelleの特徴は、新しいアプリをインストールする必要がなく、既存の各銀行アプリをそのまま使えることにあります。各銀行アプリにZelleが組み込まれており、ユーザーはいつもの銀行アプリの中からZelleを使った送金が可能です。
Zelleにはサービス開始時点で米国の主要銀行19行が参加し、口座保有者は76万人に達していました。この既存の銀行顧客をベースとして発足したZelleのユーザー数は、初年度から約1600万人と好調な滑り出しでした。
・送金手数料
Venmoはアカウント間の資金移動を無料で行うことができますが、Zelleも同様に資金移動にかかる手数料を無料化しました。
・使いやすさ
Venmoと同様に、Zelleも電話番号またはメールアドレスだけで送金相手を指定できるというシンプルで快適なUXを実現しています。
関連記事
- 「旧統一教会」は海外でどんなビジネスをしているのか “見逃せない”事実に迫る
安倍晋三元首相の暗殺事件に絡み、あらためてクローズアップされた旧統一教会。海外での報道も見ると、日本としては看過できない話も出ている。それは……。 - サブスクを成功させるか、失敗させるか、キモは「3+1」
多くの企業がサブスクビジネスを始めている。当初の目標を達成できずに苦しんでいるところも多いようだが、どこに問題があるのか。成功事例をひも解くと、共通点が見えてきて……。 - タイム誌初の「世界の企業100選」 日本企業は入ったのか?
米国のタイム誌がビジネスパーソン必見の特集を組んでいた。特集名は「世界でもっとも影響力のある100社」。どんな企業が選ばれていたのか、日本の企業は……? - 「世界一勤勉」なのに、なぜ日本人の給与は低いのか
OECDの調査によると、日本人の平均年収は韓国人よりも低いという。なぜ日本人の給与は低いのか。筆者の窪田氏は「勤勉さと真面目さ」に原因があるのではないかとみている。どういう意味かというと……。 - 7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
「いまの時代、7割は課長になれない」と言われているが、ビジネスパーソンはどのように対応すればいいのか。リクルートでフェローを務められ、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんに聞いた。 - 「70歳まで会社にしがみつく人」が結局、会社を弱体化させてしまうワケ
定年を引き上げるニュースが相次いでる。現行の60歳から65歳にする企業が増えてきているわけだが、筆者の窪田氏はこの動きに懸念を抱いている。「長く働くことができていいじゃないか」と思われたかもしれないが……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.