コラム
米国フィンテック市場、成長する新興企業VS. メガバンク:勝者はどっちだ(4/5 ページ)
米国の「個人間送金市場」が盛り上がっている。成長を続ける新興企業と既存銀行による激しい覇権争いが繰り広げられているのだ。さて、現時点の“勝者”は……。
Zelleのキラーバリュー
(2)Venmoが持っていない要素をキラーバリューと位置付ける
・送金スピード
Zelleの最も明確な差別化要素は送金スピードです。Venmoはアカウント間の資金移動が完了するまでに1〜2営業日かかりますが、Zelleでは数分で資金移動が完了します。
・完全無料
Venmoは一部のサービス(即時の資金移動など)の利用についてユーザーに課金をしていますが、Zelleは全ての資金移動を無料で提供しています。
(3)オープンで柔軟なパートナーシップを構築する
・参加銀行の個別戦略への配慮
Zelleは当初19行でスタートし、現在では1600を超える銀行と信用組合が参加しています。
各銀行は自社のモバイルアプリにZelleを組み込むことが可能であり、またZelleのフォントや色合いは各銀行のブランドイメージに応じて変更することができるなど、Zelleは参加銀行の個別戦略を尊重しています。
・参加銀行間の相互信用
ユーザーから見ると数分で自分の預金残高が増えていますが、実際のお金の動きはリアルタイムで行われておらず、通常の送金同様に数営業日をかけて行われています。Zelleに加盟する銀行同士の協力により、実際にはお金が動いていなくても、ユーザーにあたかもリアルタイムに入金したかのような体験を提供しています(※)。
(※)一部の銀行間ではリアルタイムのセトルメントも行われています。
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