ネットスーパー戦国時代 イオンに西友、Uberも参戦 勝ち抜くために必要なのは?:配送料が一つのカギに(1/3 ページ)
コロナ禍、非接触・非対面を実現するためにさまざまなソリューションが生まれた。その中でもネットスーパーは大きく飛躍したビジネスの一つだろう。コロナ禍で人々の生活に定着しつつあるが、飛び抜けたプレイヤーはおらず、多くがしのぎを削っている状態だ。勝ち抜くために必要な条件は?
2000年に日本でネットスーパーが産声を上げた。インターネットの普及によりそのビジネスモデルが可能になると、大手スーパー各社はさらなる売上拡大を求め、次々にこの新市場へ参入した。同年に西友とイオン、翌年にイトーヨーカドーとイズミヤが相次いでサービスを開始。この00年代初頭の状況はネットスーパーブームと呼ばれている。
その後もブームと呼ばれる時期が複数回訪れた。しかし、結論としては日本においてネットスーパーの定着はあまり進んでいない。その理由は、黒字化が困難なネットスーパーのコスト構造に起因するだろう。実際、08年に市場へ参入したサミットは14年に早期撤退を決めた。
ネットスーパーの一般的なコスト構造を分解してみると、売上に対して商品の原価が70%、物流費が10%、人件費/施設費が15%、IT/宣伝費が5%となっており、本社の共通費なども配賦(はいふ)すると利益を生むことのできる余地がほとんど存在しない(図参照)。日本では配送料を支払うという価値観が十分に根付いておらず、なおさら黒字化を図ることが難しい状況だ。また、「生鮮食品は自分の目で見て買いたい」という需要も強く、ネットスーパーに懐疑的な視線を向ける消費者も多い。
しかし、コロナ禍での生活を余儀なくされる中で、風向きの変化も期待できる。流通経済研究所が発表した調査によると、20年には首都圏のネットスーパーの利用者が前年同月比で約130〜160%に達したことが分かった。まさに今、「ネットスーパーブーム」が再来しており、各社の取り組みに注目が集まっている。アフターコロナにおいてビジネスとして定着し、黒字化を図ることができるか否かの正念場にあるといってもいいだろう。
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