50年以上「女性は都合のいい労働力」とされている、本当のワケ:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(1/4 ページ)
正社員の平均賃金が男女で約200万円も異なるなど、賃金格差が縮まらない。女性の就業率は上がっているものの、非正規雇用者ばかりが増えている。こうした事象の背景には、「都合のいい労働力」を求める日本の構造がある。どういうことかというと……。
日本社会はいつになったら「女性の自立」を認めてくれるのでしょうか。
マイナビが全国の働く人1万4000人を対象に実施した調査で、男女の賃金格差が約200万円もあることが分かりました。
正規雇用では、男性の収入が平均560.7万円だったのに対し、女性は平均364万円と約200万円も低く、非正規では男性平均226.7万円、女性平均152.9万円と、その差は約70万円。
男女の賃金差を企業規模別でみると、従業員数100人以下が156.3万円だったのに対し、301人以上では220.7万円。賃金差は301人以上の企業で大きくなっていました。
国が実施した調査でも、正社員の男性の平均年収は550万円なのに対し、女性は384万円。非正規では、男性228万円に対し女性はわずか153万円と出ているので、今回の調査はそれを追従する結果です(国税庁「令和2年分 民間給与実態統計調査」)。
「万年ビリグループ」を爆走する日本
賃金の男女格差は欧米にもありますが、日本の格差は異常です。男性の1人当たり報酬に 対する女性の1人当たり報酬の比率を計算した場合、先進7カ国(G7)の平均は82.2%なのに、日本は59.0%です(財務総合政策研究所「男女間賃金格差の国際比較と日本における要因分析」より)。
先日、世界経済フォーラムが発表した男女の格差を分析した報告書、「ジェンダーギャップ指数2022」でも、日本はG7のうち最下位、アジア・太平洋地域でも最下位、世界146カ国中116位。「万年ビリグループ」を爆走中です。
「ジェンダーギャップ指数」は、経済・政治・教育・健康の4つの分野で男女の格差を指標化していて、スコア「0」が完全不平等、「1」が完全平等を示すのですが、「経済活動への参加と機会」はスコア0.564で、121位。2016年の水準まで後退しました。
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