50年以上「女性は都合のいい労働力」とされている、本当のワケ:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(2/4 ページ)
正社員の平均賃金が男女で約200万円も異なるなど、賃金格差が縮まらない。女性の就業率は上がっているものの、非正規雇用者ばかりが増えている。こうした事象の背景には、「都合のいい労働力」を求める日本の構造がある。どういうことかというと……。
報告書では、その理由として、女性の労働参加率の減少が著しかったこと、女性管理職の割合が減ったことがあげられています。あれだけ「女性活躍だ!」「女性を輝かせろ!」と言っていたのに、女性管理職が減っているとは。衝撃的としかいいようがありません。
新型コロナウイルスの感染拡大は、それまで社会のさまざまな秩序の中でたまっていたひずみを、剥き出しにしました。共働き世帯では学校の臨時休校に対応するために、妻が仕事を制限したり、辞める選択をしたり。非正規の女性たちが、突然、解雇されることもありました。
OECDの報告によると、日本ではシングルマザーの就業率は先進国でも高い84.5%なのに、3人に2人が貧困というパラドクスも存在します。
非正規雇用ばかりが増える「女性活躍」
ただでさえ働く人たちの賃金は20年以上、上がっていないのに、女性たちの賃金は男性よりも低い。女性の能力が男性より劣っているわけでもないのに、さらに低いのです。しかも、賃金の低い非正規雇用で働く人が圧倒的に多いという、二重の格差が存在します。おまけに育児から解放されたあとには、親の介護が待ち受けているという現実もある。
男だろうと女だろうと「働くのが当たり前」の時代なのに、「性別役割」が根深く残っているとしか思えません。
日本政府は「女性活躍」や「女性を輝かせる」ことを、「成長戦略」の柱にしてきました。
なのに、「社会のあらゆる分野で2020年までに、女性が指導的地位を占める割合を30%以上にする目標を確実に達成する」とした目標が達成されることはなく、20年7月には、達成を目指す時期を「2020年代の可能な限り早期に」という、全く意味のないフレーズに変更しています。
そう、「女性活躍」は、キャンペーンでしかなったのです。
「(アベノミクスが行われた)7年間で、新たに330万人を超える女性が就業しました!」と成果を豪語していますが、増えたのは非正規雇用ばかりで、正社員は増えていません。
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