利益倍増の琉球銀行、そのカラクリは?:妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(3/8 ページ)
沖縄といえば合計特殊出生率は日本最高で、コロナ以前は人口も増加が続き、経済も盛り上がりを見せていた地域です。一方で主力産業は観光業であり、最もコロナの影響を受けた地域の1つでもあります。
企業の状況は落ち着いているが観光が打撃
一方で企業側では倒産件数は増加しているということもなく、政府や金融機関からの支援が活発化したことによって落ち着いた状況となっているとしています。
また新築住宅着工戸数の状況を見ると、19年が1万5098戸あったのに対して、21年は9668戸と大きく減少してしまっています。
特に大きく悪化したのが賃貸用の不動産となっていて、これが19年の9227戸→4399戸へと大幅に悪化しました。沖縄の主力産業である観光業が大きなダメージを受ける中で、不動産投資も縮小したということですね。投資用の不動産のローンは規模が大きいですから、影響は出ます。
「日銀短観の業績状況DI」という、企業にざっくりと状況がいいか悪いか聞くという指標があるのですが、これが22年3月期の時点で全国平均がプラスマイナスゼロになる中で、沖縄はマイナス19と大きなかい離が見られています。状況が悪いと捉えている企業が、全国と比べて非常に多いということです。
国内旅行に関しては、近隣の旅行を楽しむいわゆるマイクロツーリズムが好調です。コロナ前より活況となっているような観光地やホテルなどもあったりしますが、多くの方にとって地理的に遠い位置にある沖縄旅行は回復が遅いということでしょう。
悪化傾向は続くが、直近は大幅増益?
それではそういった状況下で、琉球銀行はどのような業績になっているのか見ていきましょう。
経常収益(売上高)の近年の推移を見ていくと、20年3月期までは横ばいといった水準が続いており、21年3月期は8.7%減と悪化していてコロナの悪影響が出ていたことが分かります。
続いて利益水運の推移を見ると、18年3月期をピークに下落傾向が続いていて、21年3月期も大幅な業績悪化となっています。利益面ではコロナ以前から悪化傾向となっていたようです。
続いて直近の業績を見ていきましょう。今回見ていくのは22年3月期の通期の業績です。
- 経常収益(売上高)は、0.5%減の570.1億円
- 経常利益は、108.3%増の79.3億円
- 純利益は、116.8%増の55.9億円
と減収ながらも大幅増益となっています。売上面ではコロナの悪影響が続いているものの、利益面は好調だったようでコロナ以前の19年の3月期を上回る水準まで回復しています。
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