「夕刊フジ」、オリジナル「生姜小籠包」発売 「東スポ餃子」大ヒットを参考に:紙媒体と食のコラボ(2/2 ページ)
産業経済新聞社は「夕刊フジ」ブランドでオリジナル小籠包を発売すると発表した。本業である新聞事業の発行部数や購読者数が低迷する中、新規事業創出で売り上げ拡大を目指す。
「東スポ餃子」のヒットが引き金に
同社の担当者によると、東京スポーツ新聞社が、自社媒体「東京スポーツ」ブランドで販売する「東スポニンニクマシマシ餃子」(通称「東スポ餃子」)の存在が商品化の背景にあるという。
東スポは21年9月、「コロナ禍で閉塞感漂う飲食店を救うため」として大和フーズ(栃木県宇都宮市)と共同開発した東スポ餃子を発売。青森県産高級ニンニクを従来比で3倍配合するなどの特徴があり、Twitterでは「記事だけでなく、ニンニクも盛るのか」などと話題になっている。
話題性も十分だが肝心の味も好評で、ネット販売に加え、自販機や関東中心の「ドン・キホーテ」10店舗などを中心に販売網を拡大。現在は飲食店100店舗以上で販売しているという。4月には餃子同様、青森県産ニンニクと国産鶏を使った「東スポからあげ」(1キロ2484円)の販売も始め、商品の拡充も図っている。
部数低迷の産経 朝日は「不動産が本業」との声も
東スポは飲食店救済が餃子の販売を始めたきっかけとしているものの、これはあくまで表向きの理由で、主力事業の「東スポ」の部数低迷をきっかけに始めた事業との見方が強い。それに触発されたのが、5大全国紙の一角「産経新聞」だ。
産経新聞は自社のメディアガイドで、朝刊の発行部数が120万部と公表しているが、紙媒体の発行部数などを調査する「日本ABC協会」のレポート(22年3月度)では販売店のみの部数が約99万部となり、100万部を切ったという。
駅やコンビニなどの販売部数を含めると約103万部となり、かろうじて100万部を越えている状況だが、08年の220万部をピークに減少し続けている。単純計算で約15年で部数が半数以下になっていることになる。
読者からの購読料を主な収入源としている新聞社にとって、部数低下は“死活問題”。産経同様、部数低下に苦しむ朝日新聞社は自社ビルのテナント料など不動産収入の比率が上昇し、Twitterでは「不動産が本業」などと揶揄(やゆ)する声もある。
そうした苦しい経営状況を打破しようと、産経新聞社が取り組んだ、今回の新事業。東スポが餃子でヒットしたことを意識し、同じ中華料理の小籠包を商材に。紙面で健康情報などを扱っていることなどを踏まえ、産経新聞ではなく、夕刊フジブランドでの商品化を決めた。
東スポ餃子はニンニクを多く入れており、主に男性向け商品とみられる。これに対し、夕刊フジの小籠包は健康食材とされる生姜をたっぷり使い、主に冷え性に悩む女性をターゲットとしているという。
同社の担当者は「夏は冷房を使用するため、意外と冷えに悩むケースが多い。小籠包を食べて、体を温めてもらうとともに、今後も体にいい商品を出していきたい」と意気込んだ。
紙媒体と食のコラボの行方だけでなく、餃子と小籠包という中華料理を代表するメニューを使った“中華ウォーズ”の動向にも注目が集まりそうだ。最後に笑うのは果たして──。
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