「ハゲはセクシー」な国もあるのに、なぜ日本人は恥ずかしがるのか 背景に「加藤茶」と「アデランス」:スピン経済の歩き方(6/6 ページ)
脱毛ビジネスが好調である。男性だけでなく、子どもも脱毛エステに通っているとかで。空前のブームがうかがえるわけだが、欧米で注目されている「ハゲ」も、日本で定着するのだろうか。
ネガティブなイメージはつくられている
このように、われわれが今感じている「ハゲ」に対するネガティブなイメージは、世の中のトレンドや企業のマーケティングによってつくられた部分も多々あるのだ。ということは裏を返せば、同じようなことが起きれば、今のイメージなどガラリと変わっていくことでもある。
日本では欧米豪に迫るような形で、「脱毛」が当たり前になってきた。その変化は若い男性にもあてはまる。足や胸をツルツルにするだけでは物足りず、最近は全身脱毛で髭などもツルツルにする男性もいる。ならば、ツルツルの頭だって――。
今はハゲの遠吠えにすぎないと失笑されるかもしれない。しかし、そう遠くない未来、日本でも欧米のように頭がツルツルの人気イケメン俳優が増えていくかもしれないのだ。そして、頭のハゲた父に幼い娘が抱きついてこんなことを言う時代が訪れるのだ。
「パパ、頭がツルツルになってよかったね」
え? 絶対来ない? いやいや、そんな後ろ向きなことばかりを言わず、ハゲの時代がくるように、みんなでハゲましあっていきましょうよ。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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