「さようなら、監獄レストラン」 なぜ23年も運営できたのか:水曜日に「へえ」な話(4/4 ページ)
「監獄レストラン ザ・ロックアップ」が7月31日に閉店した。「不気味さ」や「怖さ」を売りにしたエンタメ系のレストランは、なぜ閉店したのだろうか。運営元を取材したところ……。
23年も続けることができた要因
エンタメ系のレストランを運営するのは難しい――。コロナ禍にそれが浮き彫りになったわけだが、23年間も営業を続けることができた、最大の要因は何か。個人的には、2つあると思っている。1つは先ほど紹介したように、「時代に合わせて変化してきたこと」である。スマホの普及によって客の楽しみ方が変わったが、その動きに合わせるような形で、店を運営してきたことが大きい。
もう1つの理由は、「あきさせない工夫」だ。例えば、モンスターショー。「面白そうだけれど、何度も行けばあきるのでは?」と感じられた人もいるかもしれない。店側は「あきさせない工夫」として、100種類以上のシナリオを用意していたのだ。いつ来店しても違うストーリーを楽しめるようにしていたが、基本的なストーリーはあった。
何らかのトラブルが生じて、モンスターが逃げ出してしまう。店内を騒いで歩き回ったり、監獄にやって来たり。そこにポリスが登場して、モンスターを逮捕するといった内容である。毎回、シナリオを大きく変えるとスタッフの負担が大きくなるので、それはしない。しかし、客をあきさせないために、ダンスを取り入れたり、音楽を変えたりして、少しずつアレンジを加えていったのだ。
さて、閉店にあたって、最後のイベントを実施した(6月21日〜7月31日)。連日満席で、客からは「若いころ合コンで使ったよ」「デートで利用したけれど、うまくいかなかった(涙)」といった声も。店を継続できなかった会社に対して、ファンから次のような声が聞こえてきそうだ。
「逮捕だ。監獄に入りたくなければ、モンスターのように復活せよ」と。
関連記事
- ちょっと前までブームだったのに、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか
どうやら「高級食パン」のブームが終わるようだ。最近、さまざまなメディアがこのように報じているわけだが、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか。その背景には、2つの理由があって……。 - キユーピーの「ゆでたまご」が、なぜ“倍々ゲーム”のように売れているのか
キユーピーが販売している「そのままパクっと食べられる ゆでたまご」が売れている。食べことも、見たことも、聞いたこともない人が多いかもしれないが、データを見る限り、消費者から人気を集めているのだ。なぜ売れているのかというと……。 - “絶滅危惧種”と呼ばれた「ドムドムバーガー」は、なぜ蘇ったのか
日本最古のハンバーガーチェーン「ドムドムバーガー」が不死鳥のように蘇っている。閉店に次ぐ閉店で、「絶滅危惧種」呼ばれていたのに、なぜ店舗数を増やすことができているのか。 - “売れない魚”の寿司が、なぜ20年も売れ続けているのか
魚のサイズが小さかったり、見た目が悪かったり――。さまざまな理由で市場に出荷されない「未利用魚」を積極的に仕入れ、宅配寿司のネタにしているところがある。しかも、20年も売れ続けていて……。 - 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.