レジャーからビジネスシーンまで──Zoffがサングラス販売を強化するワケ(2/2 ページ)
メガネブランド「Zoff」(ゾフ)で、レンズの色が薄い「ライトカラー」のサングラス販売が好調だ。一方で、日焼け防止に使用することが多いサングラスの色を薄くした結果、紫外線(UV)のカット効果に影響が出ると本末転倒だ。レンズの色とUVカット率に相関関係はあるのか。サングラスを販売する理由とともに、Zoffの運営元インターメスティック(東京都港区)に聞いた。
屋外でのサングラス着用で疲労軽減 眼病予防との指摘も
サングラスは紫外線対策としておすすめのアイテムだという。同社にサングラス販売を手掛ける理由を聞くと「紫外線を受け続けることで、日焼けやシミ・そばかすなど肌のトラブル、体の疲労感につながるとされているため」と解説。夏場の屋外でのサングラス着用を消費者に訴求しようとしている。
医学界では、目が紫外線を受け続けることで、白内障や翼状片、加齢黄斑変性、黄斑上膜などの眼病につながるとの指摘もある。
1年で紫外線量が最も多い夏は、曇りの日であってもサングラスなどの紫外線対策が重要となる。気象庁の調査では、雲量と紫外線量には相関関係があり、曇りの日でも、最高で快晴時の8〜9割の紫外線が地表に届いていることが分かっている。
日本のサングラス着用率は5割弱とのデータ
一般的に日本は世界的にサングラスの着用率が低いとされている。インターネットリサーチを手掛けるマイボイスコム(東京都千代田区)が21年4月に発表した調査では、回答数約1万件のうち「サングラスを利用する」と答えた割合は全体の47.1%と、半数以下にとどまった。
8月6日からは甲子園球場で夏の全国高校野球選手権大会が開幕し、連日熱戦が繰り広げられている。日本高等学校野球連盟(高野連)の2019年までの記録では、1試合平均7〜8万人、大会全体では80〜100万人が観戦する。主催者の朝日新聞社の報道によると、コロナ禍で開催される今大会は1試合で最大4万1000人、大会を通しては57万人程度の来場者を見込んでいるという。
だが、試合中継映像を見ていると、炎天下の中、熱中症対策として帽子を被ってはいるものの、サングラスを着用せずにプレーする高校球児が目立つ。高野連は用具の使用ルールで、許可制でのサングラス着用を認めているが、推奨や全面解禁には至っていない。
選手のみならず、演奏するブラスバンドや応援部員などの学校関係者や、観戦客を見ても、サングラス着用は浸透しきれていない印象を受けた。前述のマイボイスコム調査では「スポーツ・屋外レジャー」での着用率は11.9%にとどまっており、そうした結果を裏付けた形といえそうだ。
一方、仏AFP通信の報道によると、オーストラリアでは健康被害防止のため、サングラスが制服の一部となり、小学校では屋外でのサングラス着用が義務化されているケースもある。背景として、同国は紫外線が強いとされている上、欧米人は瞳の色が薄く、日本人よりも眼病リスクが高いためという指摘がある。
豪州のように幼少時からサングラス着用が習慣化されていなければ、成人後も着用しない傾向が強くなる。「(Zoffでは)コロナ前は色が濃いレンズが主力商品だった」(同社広報)というように、「チャラい」「怖い」などサングラスへのマイナスイメージも着用率が低い要因とみられる。
同社は現在、ライトカラーのサングラスに加え、マグネット式でレンズの着脱が可能な「Zoff NIGHT&DAY」、紫外線量でレンズの色の濃度が変化する調光レンズ「色が変わるレンズ」などメガネとサングラスの兼用商品を拡充しており、ビジネスシーンでの利用に向けた訴求も強化している。
(関連記事:コロナ禍ならでは? Zoffの「薄色レンズ」サングラス、販売好調の理由)
Zoffは「日本人は海外と比較してサングラスによるケアをしている層が少ないとされている。ビジネスシーンからアウトドア・レジャーシーンまで幅広く使える商品を取り扱っているので、今後もさまざまなシーンで使えるサングラスを展開していきたい」とコメントしている。
Zoffによると「芸能人やインフルエンサーがライトカラーのサングラスを着用するケースが増え、消費者にもコロナ前より“サングラス文化”が浸透しているように感じる」という。ライトカラーという“新ジャンル”も含めた多角化戦略で、サングラスの売り上げ拡大につながるか注目を集めそうだ。
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