ビジョンファンドの累計損益はほぼゼロに 守りに入るソフトバンクG
ソフトバンクグループ(以下、SBG)が8月8日に発表した2023年3月期第1四半期の連結決算は、2四半期連続の最終赤字となった。直前期の2.1兆円の赤字に続き、今四半期は過去最大の3.2兆円の赤字だった。主事業であるビジョンファンド投資事業の累計損益は、昨年度つけた7兆945億円をピークに、17年度スタートの1000億円ほどの水準に戻った。人員削減・新規事業の絞り込みといった守りの戦略を継続する。
ソフトバンクグループ(以下、SBG)が8月8日に発表した2023年3月期第1四半期の連結決算は、2四半期連続の最終赤字となった。直前期に出した2.1兆円の赤字に続き、今四半期は過去最大の3.2兆円の赤字だった。
人工知能(AI)関連の新興企業に投資するビジョンファンドの損失は2兆3308億円となった。昨年度つけた7兆945億円のピーク利益がなくなり、ファンド開始時に戻った形だ。加えて、円安で国内会社の米ドル建て純負債は円ベースで増加し損失が8200億円、その他119億円という内訳だ。
同社の孫正義社長は、当日の決算発表後で守りの戦略を説明した。人員削減・新規事業の絞り込みはもちろんだが、前年度に積極姿勢を出したLTV(Lorn to Value)純負債/保有株式を縮小した。自己資金と保有株式で大きな借入を行い、巨大なプロジェクトを進めてきた逆の動きである。
さらに、今期動きのあった保有株式アリババの先渡し契約(この契約では、金融機関からの資金調達で返済期限時に、現金を返すか、差し出した株式を返済に充てるかが選べる)や、保有株式T-Mobileの追加売却で資金化を進めている。
以下の画像は、SBGのWebページのトップである。ここには、SBGが最重要指標に挙げるNAV(Net Asset Value)時価純資産=保有株式ー純負債が紹介されている。このNAVとLTVという最重要指標に手元流動性を加えた数値を孫社長も軸に据えている。説明会で孫社長が言及した、保有株式のARM(23年中の株式上場と説明)や売却先を選んでいると述べたFortressファンドなども、将来の資金化が視野に入ってくる。
説明会では、自社株買いの継続も紹介された。21年11月からの1兆円規模の自社株買いは、7月までに70%進捗した。さらに8月から23年8月までの1年間で4000億円の取得枠を設定した。遠くない未来に、SBGの非公開化があるように見える。
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