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無印良品、コアファンが「コスパ」以外に挙げた”価値”とは?:顧客体験価値ランキング2022(2/3 ページ)
「顧客体験価値(CX)ランキング2022」が発表された。最終回となる今回は、無印良品やワークマンなどの小売店に焦点を当て、6ブランドの体験価値を分析していく。
「お、ねだん以上。」のニトリの戦略は?
次に「ニトリ」をみてみよう。企業メッセージの「お、ねだん以上。」がコスパそのものを個性化し、人の心を掴んでいると言えそうだ。
- 「お、ねだん以上。ニトリ」というキャッチフレーズ通り、リーズナブル(70代女性)
- 「お、ねだん以上。ニトリ」というキャッチフレーズに忠実だと思う(40代女性)
- 値段以上の価値があると思うから(20代女性)
- 商品の品ぞろえが豊富で、しかも安い。家具もしっかりした作り、かつシンプルで機能的。まさに値段以上だから(50代女性)
さらに、ニトリを評する声を見ていると、ブランドを強くするためのインナーブランディングの要ができていることに気付かされる。ここでいうインナーブランディングの要とは以下4つの切り口を指している。
「キャッチフレーズ通り」「キャッチフレーズに忠実」「まさに値段以上」とブランドの評価軸としてキャッチフレーズが扱われていることは、顧客がその価値を強く実感していることの証明にほかならない。この状態は、社員へのキャッチフレーズの浸透やそれを体現したサービスを提供するという同社のインナーブランディングが生み出した結果と言えるだろう。
キャッチフレーズ以外にも顧客がニトリを評価する理由がある。自由回答から、顧客の声を聴きニーズを捉える「共感力」と顧客の期待を超えるために迅速に動く「俊敏力」が評価されていることが分かる。
- 顧客の要求・要望に沿った商品の展示(70代男性)
- 不便だと潜在的に思っていたことを解消するような商品が多い(40代女性)
- 家具だけでなく生活雑貨など、使いやすさを常に追求した商品開発をしていると感じる(30代女性)
- 便利なものを次々発売しているから(20代女性)
「お、ねだん以上。」は、体験価値を顕在化させる社員の原動力、ブランドを評価する顧客のチェック機能として社内外を結んでいる、それがニトリの強さである。
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