無印良品、コアファンが「コスパ」以外に挙げた”価値”とは?:顧客体験価値ランキング2022(1/3 ページ)
「顧客体験価値(CX)ランキング2022」が発表された。最終回となる今回は、無印良品やワークマンなどの小売店に焦点を当て、6ブランドの体験価値を分析していく。
連載:顧客体験価値ランキング2022
インターブランドジャパンは今回4回目となる「顧客体験価値ランキング」を発表した。ランキング上位のブランドの特徴や顧客体験価値を上げるためにブランドが取り組んでいることを業界ごとに読み解いてく。
→顧客体験価値ランキング1位は丸亀製麺 コカ・コーラ、Netflixは圏外から躍進(1回目)
→サントリーや日清食品に学べ 顧客から選ばれる食品メーカーになるための3つのパターン(2回目)
企業やブランドが提供する「顧客体験」の価値を定量的に評価する「顧客体験価値(CX)ランキング2022」。最終回となる今回は、小売店ブランドを軸に顧客体験価値向上を実現するための方法を考察していく。
- ワークマン(本年度第8位)
- 無印良品(本年度第11位)
- ニトリ(本年度第15位)
- ダイソー(本年度第27位)
- セリア(本年度第31位)
- ドン・キホーテ(本年度第49位)
6ブランドの主力商品は異なるものの、回答者の自由回答からこれらのブランドに共通する体験価値は「コストパフォーマンスの良さ」だと分かった。しかし、コスパを評価される小売店なら他にも数多くあるだろう。6ブランドが持つコスパ以外の強みは何だろうか?
ドンキ=レジャー体験?
まず「ダイソー」「セリア」「ドン・キホーテ」において、コスパに加わる体験価値を探ってみよう。回答者の自由回答から、ドン・キホーテには、顧客が心を掴まれる体験価値に「レジャー感」があることが見えてくる。
- 変わったものやおもしろいものが多い(40代女性)
- 雰囲気などから顧客を楽しませようという姿勢が伝わる(40代男性)
- 買い物をするときにワクワクする(30代男性)
- おもしろく、目新しさがある(50代男性)
- 掘り出し物を見つけるのが楽しい(40代女性)
セリア=かわいい
セリアには、「かわいい」という体験価値の声が多く集まった。
- 安いしかわいい(50代女性)
- 実用性とかわいさを兼ね備えた商品がそろっている(40代女性)
- かわいい雑貨や小物などが多い(30代女性)
- かわいいものが多い(20代女性)
ダイソー=アイデア勝負
ダイソーの顧客は、その「アイデア」に体験価値を見い出していることが分かる。
- アイデア商品がすごい(40代女性)
- 生活の気になることを解消できるようなアイデア商品を展開している(50代女性)
- 生活に便利なアイデア商品や欲しいと思ったものが販売されていることが多いから(30代男性)
- 安価で多岐にわたるジャンルの商品を販売しており、独自のアイデアを取り入れた付加価値のある商品が魅力(30代男性)
「レジャー感」「かわいい」「アイデア」は、これら3ブランド固有に表れるものであり、それが、コスパを競争優位とするランキング外の他の小売店ブランドから、頭一つ分抜けて人々の心を掴む理由だと推測できる。
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