コメダ、スタバ、マクドナルドを分析 顧客から支持される飲食ブランドの共通項:顧客体験価値ランキング2022(1/3 ページ)
「顧客体験価値(CX)ランキング2022」を基にカフェ・ファストフードブランドがどのように顧客との強い絆づくりに向けた取り組みをしているのか探っていく。
連載:顧客体験価値ランキング2022
インターブランドジャパンは今回4回目となる「顧客体験価値ランキング」を発表した。ランキング上位のブランドの特徴や顧客体験価値を上げるためにブランドが取り組んでいることを業界ごとに読み解いてく。
→顧客体験価値ランキング1位は丸亀製麺 コカ・コーラ、Netflixは圏外から躍進(1回目)
本連載「顧客体験価値ランキング2022」も4回目を迎えた。今回は、一定時間をそのブランドが創り出す体験こそが顧客との絆づくりに大きく影響するといっても過言ではないカフェ・ファストフードブランドがどのように顧客との強い絆づくりに向けた取り組みをしているのか探っていく。
今回、トップ50にランクインした、以下3ブランドにフォーカスを当てて考察を進めていきたい。
- コメダ珈琲店:本年度7位
- スターバックスコーヒー:本年度18位
- マクドナルド:本年度34位
コメダ、スタバ、マクドナルドに共通する特徴
まず、この3ブランドは顧客体験価値(CX)ランキング2022の上位50位のブランドの中でどのような特徴の違いがあるのだろうか。顧客体験価値を形成する「体験価値」の5つの要素について、ランクインした50ブランドの平均と今回の3ブランドの平均値について比較をしてみた。
【注釈:体験価値の5要素とは、インターブランドジャパンが定義した顧客体験価値を決定する要素を指す。「RELEVANCE:私向けのものだと思える」「EASE:私にとって意味がある」「OPENNESS:オープンで正直である」「EMPATHY:私の立場で考えてくれる」「EMOTIONAL REWARDS:いい気分にさせてくれる」の5つから成る】
大きな傾向に変わりはないものの、相対的に「EASE:私にとって意味がある」スコアがやや高いことが見てとれる。「EASE:私にとって意味がある」とは、たくさんの選択肢の中で、自分がそのブランドを選ぶ意味や価値を示してくれていることを表す評価指標である。
3ブランドは、どのような体験が顧客に受け入れられたことで深い絆が育まれるに至ったのか。各ブランドを「顧客のことをよく理解しているブランド」として挙げた回答者の自由回答を通じて、当該業界だけでなく、他業界でも参考になりそうな成功要因を探った。
コメダ珈琲店、スターバックスコーヒー、マクドナルドに対して「顧客のことを最もよく理解している」理由として挙げられた共通要素としては「店員の接客対応」「商品の良さ、おいしさ」であった。こうした要素はいずれも、カフェ・ファストフードブランドに要求される基礎的な体験である
- 店員さんの対応が良く、食べ物も飲み物もおいしくて量もベスト。気持ちの良い、モーニングやランチタイムを送れる(コメダ珈琲店・30代女性)
- 子どもがいたら何も言わなくても紙袋に商品を入れてくれるし、随所に気遣いが見られる(スターバックスコーヒー・40代女性)
- 明るい笑顔と丁寧な接客。商品のラインアップも良いため(スターバックスコーヒー・30代女性)
- 接客がしっかりしている(マクドナルド・20代男性)
- ビッグマックがおいしいから(マクドナルド・40代男性)
- 安くて手軽でおいしい(マクドナルド・30代女性)
この共通要素を押さえた上で、顧客との絆づくりにおける各ブランドの取り組みを見ていこう。「体験価値の5要素」を3ブランド別に見たところ、いずれも「EASE:私にとって意味がある」「OPENNESS:オープンで正直である」が上位2項目として挙げられた。しかし、自由回答を見るその項目を支えている中身については違いが見られた。
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