コメダ、スタバ、マクドナルドを分析 顧客から支持される飲食ブランドの共通項:顧客体験価値ランキング2022(2/3 ページ)
「顧客体験価値(CX)ランキング2022」を基にカフェ・ファストフードブランドがどのように顧客との強い絆づくりに向けた取り組みをしているのか探っていく。
コメダ珈琲店が支持されるワケ
コメダ珈琲店の自由回答には、「メニューのボリューム」「居心地の良さ」といった一見機能的な要因が多く並んだ。しかしそれが「自分がそのブランドを選ぶ意味や価値」「きれいごとではなく、顧客と真摯に向き合い、真に信頼できるブランド」との評価に結びついていることがうかがえる。
- 顧客の満足感を優先したメニュー。メニュー写真に比べて実際のメニューが大きく、サービス精神を感じる(コメダ珈琲店・20代男性)
- お値段お手頃、ボリュームありで居心地が良い。とても良いお店(コメダ珈琲店・30代女性)
- フードやドリンクの量が多いから。また、座席が快適で、ゆったりと過ごせる(コメダ珈琲店・30代男性)
コメダ珈琲店は「心にもっとくつろぎを」をミッションとして掲げ、くつろぎの秘密としておいしさや居心地の良さに対するこだわりを示している。そうした考え方が店舗創りにつながり、顧客体験としての評価向上に貢献しているのではないか。
次に、スターバックスコーヒーを見てみよう。
スターバックスコーヒーへの自由回答から推測される特徴としては、店頭での体験に加え、その背景に企業活動としての姿勢や信念が感じられることが挙げられる。それは、長年にわたり、同ブランドが積み上げてきたイメージが人々の記憶に深く刻まれ、なかなか店舗での体験がしにくいコロナ禍であっても、久しぶりに行きたい場所として想起されたと考えられる。
- 客の目線や立場でメニューのアドバイスをしてくれる。社員教育のレベルの高さを感じる(スターバックスコーヒー・50代女性)
- 顧客一人一人に対して対応をしているように見受けられる(スターバックスコーヒー・30代女性)
- 従業員の働く楽しさが伝わってくる(スターバックスコーヒー・60代男性)
- 季節限定の商品やコーヒーの種類が豊富(スターバックスコーヒー・20代男性)
- かなり久しぶりに友人と会ってランチして、スタバでお茶をした。おいしいカフェオレを飲んで近況報告や仕事のことなど話した。スタバはわたしたちにとって特別な場所です(スターバックスコーヒー・50代女性)
マクドナルドの自由回答からは、豊富な新商品ラインアップや時代に合った提供方法など、常にブランドが時代の流れや顧客の期待に合わせて進化している点を評価する傾向が見られた。それはメニューだけではなく、価格面やおもちゃなどのサービス、オーダーの方法とブランドと顧客の接点全域にわたるようだ。一つ一つは機能面の評価ではあるものの、それが総体としての体験につながっていることで、「常に進化して顧客を飽きさせない」という情緒的な印象を形成している。
- 魅力的な新商品を頻繁に発売しているので(マクドナルド・20代男性)
- ファミリー、単身どちらにも需要がある。低価格、おもちゃなどユーザーの喜ぶことが多い(マクドナルド・30代男性)
- 新商品を次々に発売しており、飽きさせない工夫がされている(マクドナルド・50代女性)
- コロナ禍では、ドライブスルーなどの非接触型対応に助けられた。現在も頻繁に利用している(マクドナルド・50代女性)
- 味やおいしさ、コストパフォーマンスはもちろん、時代の流れに合ったさまざまな提供方法に対応しているため(マクドナルド・20代女性)
関連記事
- サービス解約者の5人に1人が再登録 完全栄養食「BASE FOOD」のやめさせない仕組みづくり
完全栄養食の「BASE FOOD(ベースフード)」は、定期購入型サービスの利用者が10万人を超える人気ブランドだ。その人気を支えているのは、「BASE FOOD Labo」呼ばれるコミュニティーサイトの利用者たちだ。彼らはなぜ、BASE FOODに強い愛着を抱くのだろうか。 - 花王、マスマーケティングからの脱却狙う 新部署設置1年で見えてきた「課題」とは
化粧品・日用品などに多くのブランドを擁する花王は、2021年1月に大規模な組織改編を実施、DX戦略推進センターを新設した。同センターの目的は、デジタルデータを活用したカスタマーサクセスの実現だ。顧客を成功体験に導く花王の手法、そして見えてきた課題とは? - 「買えないけど好き」 メルセデス・ベンツのファン化戦略はなぜ成功したのか
メルセデス・ベンツは、輸入車新規登録台数7年連続トップの栄冠を手にしている。その裏には顧客満足度を高める一貫した戦略があった。「情報発信拠点」「デジタル」「販売店」の3軸から紐解いていく。 - 稼働率100%の部屋はなぜ生まれた? アパホテルの「宿泊客を飽きさせない工夫」
2022年4月に開業したアパホテル〈なんば心斎橋東〉にて初めて採用した「とある部屋」のGW中の稼働率は100%を記録した。なぜそのような部屋が生まれたのか? そこにはアパホテルの「飽きさせない工夫」があった。 - 3期連続「炎上」で絶体絶命だったヤプリ、なぜ解約率1%未満を達成できたのか?
SaaS業界では「サービス解約率を3.0%未満に抑えましょう」といわれている中、アプリ制作プラットフォーム「Yappli」の解約率は1%未満。顧客満足度の高さがうかがえるが、2017年には「3期連続炎上」という暗黒の時代もあったという……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.