年間3億本超えのあずきバー、発売当初より硬いってホント? 開発担当者に聞いた:来年50周年(2/4 ページ)
「あずきバーが発売当初より硬くなっているらしい」――SNS上でこんなつぶやきが話題になっている。例年夏になると「あずきバーに負ける人続出」「勝負を挑んで前歯を欠けさせる人は多いらしい」などと、その“硬さ”を取り出されることが多いあずきバー。あずきバーを提供する井村屋の公式Twitterも「歯には気を付けて召し上がれ」とツイートしている。あずきバーは本当に硬くなっているのか? 同社の開発部冷菓チーム課長の嶋田孝弘さんに聞いた。
あずきバーが硬くなっている理由
あずきバーを作る工程自体は、炊きたて熱々のあずきを0度以下に急速で冷やし、型に入れてマイナス10〜20度で凍らせるというシンプルなものだ。
「炊きたてのあずきの香りを閉じ込めるため、いかに早く0度以下まで冷やすことができるかが最初の課題でした」(嶋田さん)。当時はこのような急速冷却機能を持った機械がなかったため、専用の機械を機械メーカーとともに一から共同開発したという。「この時開発した冷却機械はその後も改良を重ね、現在も活躍中です」(嶋田さん)
型に入れて棒アイスにする過程では、液体より重いあずきの粒が沈んでしまうという問題が発生。試行錯誤の末、原材料である水あめやコーンスターチの配分を工夫した他、かき混ぜながら凍らせる製法にたどり着き、1本に約100粒のあずきが均等に入った「あずきバー」を作ることに成功。アイス事業への参入から10年後の1973年、あずきバーを発売した。
このようにして作られるあずきバー。ではなぜ、発売当初より硬くなっているのだろうか? その理由は“甘さ”にある。
「発売当時は甘いものが貴重だったこともあり、砂糖を多くしてかなり甘めに作っていました。しかし、現在は甘さ控えめで素材本来の味を味わえる商品が人気で、そのため砂糖の量を減らしています。砂糖の量が減れば、必然的にあずきや水などの他の原料の量が増え、その結果硬くなっているのです」(嶋田さん)。意図的に硬くしているのではなく、数〜10年のサイクルで実施するレシピ改良の結果、偶然にも硬くなっているというわけだ。
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