年間3億本超えのあずきバー、発売当初より硬いってホント? 開発担当者に聞いた:来年50周年(4/4 ページ)
「あずきバーが発売当初より硬くなっているらしい」――SNS上でこんなつぶやきが話題になっている。例年夏になると「あずきバーに負ける人続出」「勝負を挑んで前歯を欠けさせる人は多いらしい」などと、その“硬さ”を取り出されることが多いあずきバー。あずきバーを提供する井村屋の公式Twitterも「歯には気を付けて召し上がれ」とツイートしている。あずきバーは本当に硬くなっているのか? 同社の開発部冷菓チーム課長の嶋田孝弘さんに聞いた。
あずきバーに次ぐ看板商品を作る
ロングセラー商品として愛されるあずきバー。しかし、「普段あずきを食べない」「あずきの皮の食感が苦手」という理由から、若年層、特に子どもからの人気が低いという。「あずきバーはそのイメージ通り、年配の方からの人気に支えられています。実際に購買層を分析しても、50〜70代が圧倒的に多いのが現状です」(嶋田さん)
そこで同社は子ども人気を獲得するため、幼稚園におやつとしてあずきバーの無料配布を行っている。「あずきバーは原材料に安定剤・着色料・香料を使っていないので、お子さまのおやつとしても安心・安全です。地道な取り組みではありますが、こうした食育を通して若年層のあずきバーファンを増やしていきたいと考えています」(嶋田さん)
嶋田さんがチーム長を務める冷菓チームは、12人中9人が20代。同社でも屈指の若いチームだという。「目下の課題はあずきバーに次ぐ看板商品を生み出すことで、それには“井村屋=和”という固定概念がない若い世代の柔軟な発想が必要不可欠です」(嶋田さん)。嶋田さんが開発を担当し今年10周年を迎えた「やわもちアイス」シリーズや、若手社員のアイデアから生まれた「ごろろん果肉 アップルパイバー」は、あずきバーに次ぐヒット商品となっているという。
「私たちは商品開発において、“不易流行”をモットーにしています。つまり、変えてはいけないところは変えず、変えるべきところは勇気を出して変える。あずきバーが今まで生き残ってきたのも、あずきのおいしさにこだわる姿勢は変えず、消費者の味の好みなどに柔軟に対応してきたからだと思います」(嶋田さん)。あずきバーの硬さの中には、井村屋の柔軟な姿勢が隠されていた。
関連記事
- 人気拡大中のネッククーラー 誕生のきっかけは、暑いときの“ある行動”
夏の猛暑は深刻だ。熱中症警戒アラートも毎日のように発令されており、日々の暑さ対策もはや必須となってきた。暑さ対策といえば、定番の扇子や日傘から最近では手持ち扇風機もよく目にするようになってきたが、ここ最近じわじわと人気が拡大している商品がある。家電メーカーのサンコーが手掛ける「ネッククーラー」だ。 - 「型破り」新型クラウン 豊田社長のダメ出しから始まった「革新と挑戦」
「15代続く中で磨かれてきたクラウンの“型”を、16代目が“型”破りしたといえるかもしれない」──7月15日に行われた新型クラウンのワールドプレミアで、豊田章男社長はそう語った。 - 「セカンド冷凍庫」が一躍人気になっている“なるほど”な理由 シャープに聞いた
「セカンド冷凍庫」が注目を集めている。家にもう1台冷凍庫を置くというと、部屋が手狭になるなどマイナスな印象を受けるかもしれないが、直近2年間で国内出荷台数は2倍近くに急増。人気の背景には、食品買いだめやコストコなど大容量商品の人気上昇のほかにも、追い風があるようだ。詳しい理由をシャープに聞いた。 - もはやオシャレ家電? 人気の「セカンド冷凍庫」しのぎ削るメーカー、焦点は2つ
食品買いだめやコストコなど大容量商品の一般化、ふるさと納税の返礼品などを追い風に、人気上昇中の「セカンド冷凍庫」。各社の人気セカンド冷凍庫を分析すると、ある特徴が見えてくる。キーワードは、「スリム」と「大容量」だ。 - 異例の350万本突破 リップモンスターが口紅市場で“モンスター級”になれた理由
コロナ禍により、化粧品市場は大きな打撃を受けた。2020年は6670億円(前年比88%)と大きく落ち込み、21年もほぼ同水準となった。最大の要因はメークアップ化粧品で、特にファンデーションや口紅など、マスクを着用すると崩れたり隠れたりしてしまうカテゴリーの落ち込みが大きくなっている。こうした状況にあって、累計販売本数が350万本突破するほどの人気商品となっているのが、KATEの落ちにくい口紅「リップモンスター」だ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.