吉田カバンが「1+1=3」の発想 リュックが2つに分かれる新作にびっくり:週末に「へえ」な話(2/3 ページ)
吉田カバンからユニークなカバンが登場した。リュックが2つに分かれるタイプを発売したところ、じわじわ売れているそうだ。「吉田カバン」といえばベーシックなモノが多いのに、なぜ見たことも聞いたこともない商品を開発したのだろうか。担当者に話を聞いたところ……。
ターゲットを絞って開発
ふむふむ。確かに、新型コロナの感染が広がって、ノートパソコンが入るカバンを持つ人が増えたような気がする。とある調査(※)でも、ビジネスバッグを選ぶ際に重視しているポイントとして、「パソコンが入る」が3位に入っていて、コロナ前と比べてぐーんと伸びていた。
また、会社で働くか家で働くかによって、使っているバッグに違いも。会社で働く人は「トートバッグ」(32.4%)が最も多いのに対して、家で働く人は「リュック」(32.6%)がトップ。テレワーカーの3人に1人は、メインのビジネスバッグとして「リュック」を使っていることがうかがえたのだ。
こうした環境の変化を受けて、「ツインパック」を市場に投入したわけだが、「であれば、フツーのリュックでよいのでは?」と思われたかもしれない。先ほど紹介したように、同社でフツーのリュックはたくさん扱っている。今回のリュックは、ターゲットをさらに絞り込んでいるのだ。
「仕事の前後にランニングやジムに通う人が増えてきました。仕事で使う書類やパソコンなどは後層部に(体に近いほう)、プライベートで使う着替えやシューズなどは前層部に。『使い分けて持ちたいなあ』というときには“分離”させて、『一緒に持ちたいなあ』というときには“くっつけて”使えるように設計しました」(岡田さん)
カバンという商品の特性上、発売後いきなり大ヒットするケースは少ない。例えば、吉田カバンに「TANKER(タンカー)」というブランドがある。PORTERの代名詞ともいえるシリーズで、特徴は米軍のフライトジャケット「MA-1」をモチーフにしていて、オリジナルの3層構造生地を採用していること。ロングセラー商品として、多くの人に愛されているわけだが、発売当時は様子がちょっと違っていた。
1983年に発売したものの、売れ行きは「まずまず」といった感じ。その後、少しずつファンが増えていって、10年ほどたってから“定番”の仲間入りに。「ツインパック」もいまのところスタートダッシュは切れていないようだが、タンカーのようにじわじわ広がっていって、数年後に大きく成長しているかもしれない。
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