10年連続売り上げアップ ”甘くない”が「午後の紅茶」の定番商品になった理由:ストレート、ミルク、レモンに続く(2/4 ページ)
キリンビバレッジが販売する「午後の紅茶」シリーズが好調だ。2022年上半期の累計販売数量は前年比104%で、2年ぶりに2300万箱を突破。そんなシリーズの好調を牽引したのが、「午後の紅茶 おいしい無糖」や「午後の紅茶 ミルクティー微糖」といった“甘くない”紅茶だ。
“甘くないミルクティー”で大人層を獲得
2019年、メーカー各社は新しい紅茶飲料を次々と打ち出した。サントリー食品インターナショナルはペットボトルコーヒー「クラフトボス」シリーズに紅茶を投入。伊藤園も8月に「TEAs' TEA NEW AUTHENTIC 生オレンジティー」を発売した。コカ・コーラシステムは9月にロングセラー商品「紅茶花伝 ロイヤルミルクティー」を発売25年目でフルリニューアルした。
ライバル各社が甘い紅茶でしのぎを削る中、同社が発売したのが甘くないミルクティー「午後の紅茶 ザ・マイスターズ ミルクティー」だった。
「午後の紅茶 おいしい無糖」が躍進しているとはいえ、依然として甘い商品が約8割を占める紅茶市場で、なぜ甘くないミルクティーを発売したのか? 「当時市場を席捲(せっけん)していたペットボトルコーヒーが女性層を獲得できていないこと、既存ミルクティーが甘いため大人層の離反があることに着目しました。コーヒーでもなく、甘いミルクティーでもない、“甘くないミルクティー”にこそ、大人層の気分転換のシーンにマッチする需要があると考えたのです」(田代さん)
「午後の紅茶 ザ・マイスターズ ミルクティー」は、“甘くない微糖”というこれまでの午後の紅茶にはなかった味わいで、「大人女性がオンタイムで飲める飲料」として主に30〜40代の女性から支持を獲得した。同年の午後の紅茶シリーズで過去最高出荷箱数を記録し、9年ぶりのヒット商品となった。
今年4月には、「午後の紅茶 ザ・マイスターズ ミルクティー」のリプレイス商品として、「午後の紅茶 ミルクティー 微糖」を発売。「ミルクティーを飲む頻度が減った理由として、『甘すぎる』ともう1つ多くあげられた『カロリーが気になる』に着目しました」(田代さん)。カロリー50%オフ(午後の紅茶 ミルクティー比)にしつつも、ミルクティーの濃厚な味わいを損なわないよう、ミルクや糖の調整を繰り返したという。
「午後の紅茶 ミルクティー 微糖」は、糖やカロリーを控えたい40〜50代女性を中心に支持され、発売から約2カ月で1000万本を突破。先代の「午後の紅茶 ザ・マイスターズ ミルクティー」の売れ行きをはるかに上回るペースで推移しているという。
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