IT駆使して人気だった「ブルースターバーガー」なぜ閉店? プロが指摘する「接客不要」の落とし穴:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/7 ページ)
外食DXの成功例としてもてはやされた「ブルースターバーガー」。完全キャッシュレス、非接触のスタイルが画期的だった。行列ができるほど人気だったのに、なぜ全店閉店に追い込まれたのか。
ハンバーガーに大手が相次いで参入
コロナ禍に入ってから、テークアウトやデリバリーに強いハンバーガー業態は、外食が自粛を要請され、時短、休業を余儀なくされても例外的に好調に推移してきた。
「マクドナルド」を経営する、日本マクドナルドホールディングスの20年12月期の売上高は前年同期比2.3%増、経常利益は同14.3%増。21年12月期の売上高は同10.2%増、経常利益は同7.0%増となった。
「モスバーガー」を経営する、モスフードサービスの21年3月期の売上高は同4.3%増、経常利益は15.8%増。22年3月期の売上高は同9.0%増、経常利益は154.6%増となっている。
このようなハンバーガーの好調ぶりが明らかになるにつれて、外食他業種からのハンバーガーへの進出が目立った。
ブルースターバーガーもそうした動きの一環。ダイニングイノベーションはチキンバーガーの「ドゥーワップ」も立ち上げて21年7月、東京・代官山に1号店をオープンした。
他にも、「鳥貴族」が21年8月、チキンバーガーの「トリキバーガー」1号店を東京・大井町にオープン。
「ロイヤルホスト」のロイヤルホールディングスが21年5月、チキンバーガーの「ラッキー ロッキー チキン」1号店を東京・武蔵小山にオープン。
「築地銀だこ」のホットランドは、群馬県桐生市の「ジューザバーガー」と提携して20年12月、東京1号店を東銀座にオープンした。
しかし、ハンバーガーの競争激化で、21年度のハンバーガー店の倒産(負債1000万円以上)が前年度の1件から6件に急増。今年はさらに淘汰が進むと見られていた(東京商工リサーチ調べ)。
外食大手の新規参入組で、真っ先に消滅したのがまさかのブルースターバーガーだった。
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