IT駆使して人気だった「ブルースターバーガー」なぜ閉店? プロが指摘する「接客不要」の落とし穴:長浜淳之介のトレンドアンテナ(6/7 ページ)
外食DXの成功例としてもてはやされた「ブルースターバーガー」。完全キャッシュレス、非接触のスタイルが画期的だった。行列ができるほど人気だったのに、なぜ全店閉店に追い込まれたのか。
接客不要の落とし穴
また、飲食店向けオンライン予約システムのテーブルチェック(東京都中央区)代表取締役の谷口優氏は「ブルースターバーガーのような注文時に接客がない業態には、デメリットもある。何を注文すべきか悩んでいるお客さまにアドバイスができないし、顧客単価が上げにくい。リピート来店する動機も薄くなってしまい、新規顧客を獲得するために広告を投下し続けなければならない」と、接客不要のシステムには落とし穴があると警鐘を鳴らした。
都内でサービスを拡大しつつある国内発のフードデリバリー「Chompy(チョンピー)」を立ち上げた、Chompy(東京都目黒区)代表取締役の大見周平氏は、コストを抑えて作ったアプリの基本的な性能に問題があったと指摘。「ブルースターバーガーは、リリース時のアプリに使いづらさが散見された。App Storeのスコアは2.0前後と低く、リニューアル後も1.3だった。限られた予算で開発したと聞いている」とした。
「特にリリース初期には、一気通貫させるべき、業務オペレーションとユーザーが使用するソフトウェアの擦り合わせが不十分だったために、大幅な遅延が多発。その後も提供予想時間を遅めに設定せざるを得ず、ファストフードとしてのコアが失われがちだった」と、フードテックに十分な投資をしないうちに、店舗拡大を急いだことに敗因があったとしている。
それではマクドナルドのようなIT活用も進んだ大手とは、勝負にならない。
なお、Chompyはデリバリーに止まらず、イートイン、テークアウトも一括した顧客管理、顧客データ活用のトータルサポートで、同業他社と差別化している。
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