なぜ現場で働く人が不足しているのか 「コロナのせい」ではないワケ:スピン経済の歩き方(1/7 ページ)
コロナに感染してしまった。濃厚接触になって出社できない。こうした理由で、「現場で人が足りない」といった悲鳴の声がでているが、原因は本当に「コロナ」なのか。筆者の窪田氏は、違う見方をしていて……。
「日本にコロナ患者が少ないのは、ルールを守らない欧米人と違って、日本人はみんな真面目にマスクをしているからだ」――。そんなテキトーな話を真に受けて、無邪気に喜んでいたのはなんだったのだろうか。
「世界一真面目にコロナ対策に取り組んでいる」と自画自賛していた日本で、「世界一の感染爆発」が起きている。
WHOが発表した新規感染者(8月7日まで)をみると、3週連続で日本が「世界最多」をマークした。「それは日本が他国と違ってマジメに全数報告をしているからだ」という指摘もあるが、国が公認するコロナ患者が世界一あふれかえっている事実は変わらない。
そんな世の中ならば当然、さまざまな「不便」が生じる。感染者や濃厚接触者が急増して、社会のいたるところで働き手が足りなくなって、経済活動にもじわじわと悪影響を及ぼしているというのだ。
「働く人が足りず…飲食店でもコンビニでも休業 コロナ第7波が影響」(朝日新聞デジタル 8月13日)によれば、従業員がコロナにかかって休んでいることで、多くのコンビニや飲食店が休業に追い込まれており、トヨタの工場まで操業停止に追い込まれているらしい。また、全国の郵便局でも人手が足らず、8月12日時点で176局が窓口業務などの休止に追い込まれ、一部の鉄道やバス会社では乗務員が十分集まらず運休や減便をしている。
そう聞くと、「やはり『2類感染症』から季節性インフルエンザと同じ『5類』に引き下げるべきだ」とか「政府の事業者向け支援が足りていないからだ、ケチケチせずにもっと派手にバラまけ!」などと憤りを覚える方も多いだろう。
ただ、実はこの「働く人が足りない問題」はぶっちゃけ、「コロナのせい」だけではない。はるか昔からいつ今のような状況になってもおかしくなかったところ、社会全体でどうにかゴマかし続けてきたところ、今回の第7波でついにそれが隠しきれなくなっただけに過ぎない。
つまり、新型コロナはあくまで日本の「働く人が足りない問題」を表面化させるきっかけだっただけで、「原因」ではないのだ。
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