なぜ現場で働く人が不足しているのか 「コロナのせい」ではないワケ:スピン経済の歩き方(2/7 ページ)
コロナに感染してしまった。濃厚接触になって出社できない。こうした理由で、「現場で人が足りない」といった悲鳴の声がでているが、原因は本当に「コロナ」なのか。筆者の窪田氏は、違う見方をしていて……。
原因は“三重苦”
では、何が原因なのかというと、「生産年齢人口の減少」「雇用のミスマッチ」「低賃金」という“三重苦”が長く続いていることが大きい。
ご存じのように、日本は世界最速レベルで少子高齢化が進んでいる。子どもが激減していけば当然、社会に巣立って働く人も激減していくのは、小学生でも分かる理屈だ。
実際、日本の生産年齢人口(15歳以上65歳未満)は1995年の8716万人をピークに減少を続けている。20年の国勢調査をみると、7508万7865人で、95年時に比べて13.9%も減少している。
経済活動を担う人々が25年前からガッツリと減っているのだから当然、外食チェーンの店舗網や社会インフラも25年前から徐々に統合・集約されていかなければおかしい。働き手がいないのに、コンビニやら飲食店という「器」だけを増やしたところで、すぐに人手不足に陥ってしまう。
しかし、不思議とそうなっていない。例えば、日本フランチャイズチェーン協会のデータでは、95年のセイコーマート、セブン-イレブン、ファミリーマート、ポプラ、ミニストップ、デイリーヤマザキ、 ローソンの店舗数は2万9144だったが、22年6月末には5万5887となっており、95年時に比べて91.7%も増えている。
もちろん、コンビニの場合、昔ながらの酒屋さんが業態替えしたとか、脱サラしてコンビニオーナーになる人が増えたとか、FC本部の「ドミナント戦略」によるものだとか、「店舗数の増加」はさまざまな理屈で正当化できる。
しかし、忘れてはいけないのは、そこで働いているのはロボットなどではなく「人間」ということだ。先ほど紹介したように、生産年齢人口は確実に減少している。いくら大規模化で業務を効率化しても限界があるので、2倍近くまで膨れ上がったコンビニというインフラの中では、確実に「働く人が足りない問題」が起きてしまうのだ。
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