赤字企業が4割 鬼滅、シン・エヴァ、SPY×Family、ヒット作続々もアニメ制作の苦しい現状:米国企業との取引は倍増(1/2 ページ)
帝国データバンクの調査によると、21年のアニメ制作の市場規模は、前年(2633億円)を5.2%下回る2495億8200万円となり、2年連続で縮小した。制作企業1社当たりの平均売上高は8億1800万円で、赤字企業は39.8%と過去最高を更新した。
2021年のテレビアニメは、『鬼滅の刃 遊郭編』『呪術廻戦』『ウマ娘 プリティーダービー Season2』『王様ランキング』など、多くの作品が安定して人気を獲得。また、劇場版では、人気シリーズの完結作『シン・エヴァンゲリオン劇場版』や『銀魂 THE FINAL』などがヒットした。しかし、アニメ制作の市場規模は2年連続で減少しており、赤字に苦しむ制作会社も少なくないのが現状だ。
帝国データバンクの調査によると、21年のアニメ制作の市場規模は、前年(2633億円)を5.2%下回る2495億8200万円となり、2年連続で縮小した。制作企業1社当たりの平均売上高は8億1800万円で、赤字企業は39.8%と過去最高を更新した。
制作態様別に平均売上高をみると、直接制作を受託・完成する「元請・グロス請」は16億4700万円で、前年(16億6600万円)を約1900万円下回った。下請としてアニメ制作に携わる「専門スタジオ」は、2億8700万円となり前年(3億5600万円)から大幅に減少。赤字企業は2年続けて4割を超えた。
「元請・グロス請」では、コロナ禍によるスポンサー撤退や出資見送りなどに加え、受注限界による翌期への持ち越しといったケースが散見された。ただ、自社IPを有する大手などでは、動画ストリーミング配信などのライセンス収入が利益に大きく貢献し黒字や増益となった。一方、自社IPを多く持たない中堅以下では、制作本数減による減収に加え、アニメーター不足による受注制限、外注費の上昇で採算割れが発生したケースもあり、減益や赤字が多く発生した。
「専門スタジオ」では、アニメーターの積極採用や外注増加、機材更新やデジタル化対応など積極的な設備投資を実施。その結果、受注消化能力の向上や3DCGなど制作現場の付加価値が高まり、請負単価が上昇していた。しかし、コロナ禍の影響で制作見送りや中止などが発生。元請からの発注量が減少したことで減収となるケースが多く、上記のコスト負担を吸収できずに損益面でも大幅に悪化した。
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