ニュース
赤字企業が4割 鬼滅、シン・エヴァ、SPY×Family、ヒット作続々もアニメ制作の苦しい現状:米国企業との取引は倍増(2/2 ページ)
帝国データバンクの調査によると、21年のアニメ制作の市場規模は、前年(2633億円)を5.2%下回る2495億8200万円となり、2年連続で縮小した。制作企業1社当たりの平均売上高は8億1800万円で、赤字企業は39.8%と過去最高を更新した。
10年以内に日本アニメが追い抜かれる?
アニメ制作企業309社のうち、海外企業との取引が判明した企業は70社。中国企業との取引が最も多かったものの、米国企業との取引は前年の13社から2倍に増加した。Netflixやアマゾンなど、米国を拠点とする動画プラットフォーマーへのアニメ作品提供や、独占配信などの直接契約・取引といった機会が急増し、米国依存が強まっている。
22年も『SPY×Family』『パリピ孔明』など人気作・話題作が多い。その一方で、「新作タイトルの飽和に伴う制作市場の頭打ち、クオリティー維持に向けた最新設備などへの投資や、若手アニメーター不足による人件費・外注費の増加でコスト上昇が続いており、収益力は年々低下している」と帝国データバンクは指摘する。
一方で海外、特に中国のアニメ制作企業がアニメ原作の供給力・制作力の双方で日本に並ぶ実力を付けており、早ければ10年以内に日本アニメ自体が追い抜かれる可能性も出ている。
帝国データバンクは、「海外では、高額な制作費を投下して長期にわたる共同制作を行う他、アニメーター育成をサポートする動きもみられる。日本アニメの発展を支えてきた制作委員会方式の良さを生かしながらも、アニメ制作会社のクオリティー維持や将来に向けた投資が可能とするヒット作の収益還元といった仕組み作りが急がれる」としている。
関連記事
- 人気拡大中のネッククーラー 誕生のきっかけは、暑いときの“ある行動”
夏の猛暑は深刻だ。熱中症警戒アラートも毎日のように発令されており、日々の暑さ対策もはや必須となってきた。暑さ対策といえば、定番の扇子や日傘から最近では手持ち扇風機もよく目にするようになってきたが、ここ最近じわじわと人気が拡大している商品がある。家電メーカーのサンコーが手掛ける「ネッククーラー」だ。 - 「型破り」新型クラウン 豊田社長のダメ出しから始まった「革新と挑戦」
「15代続く中で磨かれてきたクラウンの“型”を、16代目が“型”破りしたといえるかもしれない」──7月15日に行われた新型クラウンのワールドプレミアで、豊田章男社長はそう語った。 - 「セカンド冷凍庫」が一躍人気になっている“なるほど”な理由 シャープに聞いた
「セカンド冷凍庫」が注目を集めている。家にもう1台冷凍庫を置くというと、部屋が手狭になるなどマイナスな印象を受けるかもしれないが、直近2年間で国内出荷台数は2倍近くに急増。人気の背景には、食品買いだめやコストコなど大容量商品の人気上昇のほかにも、追い風があるようだ。詳しい理由をシャープに聞いた。 - もはやオシャレ家電? 人気の「セカンド冷凍庫」しのぎ削るメーカー、焦点は2つ
食品買いだめやコストコなど大容量商品の一般化、ふるさと納税の返礼品などを追い風に、人気上昇中の「セカンド冷凍庫」。各社の人気セカンド冷凍庫を分析すると、ある特徴が見えてくる。キーワードは、「スリム」と「大容量」だ。 - 異例の350万本突破 リップモンスターが口紅市場で“モンスター級”になれた理由
コロナ禍により、化粧品市場は大きな打撃を受けた。2020年は6670億円(前年比88%)と大きく落ち込み、21年もほぼ同水準となった。最大の要因はメークアップ化粧品で、特にファンデーションや口紅など、マスクを着用すると崩れたり隠れたりしてしまうカテゴリーの落ち込みが大きくなっている。こうした状況にあって、累計販売本数が350万本突破するほどの人気商品となっているのが、KATEの落ちにくい口紅「リップモンスター」だ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.